「薬剤」の勉強方法を徹底解説!薬剤師国家試験対策の重要ポイント
薬剤師国家試験の薬剤に関しては、苦手意識がある学生が多いという印象です。しかし、薬剤は薬剤師になってからも日常的に必要となる分野であり、学生のうちに得意科目にしておくと良いでしょう。
例えば、患者さんに「薬の効果がいつでるのか?」や「飲み合わせとは?」などと聞かれた際に、添付文書などのTmaxやCmax、相互作用を確認しますが、薬剤の薬物動態分野が分からなければ答えることができません。
剤形などに関しても、薬剤の製剤分野での勉強が役立ちます。では、薬剤の勉強法について、以下のポイントを押さえて効果的に学習を進めましょう。
01、薬剤の出題傾向と特徴を把握
薬剤の分野は主に4つに分類されます。
- 薬物動態学 (吸収、分布、代謝、排泄)
- 薬物速度論 (計算問題)
- 製剤の性質 (粉体、溶解、レオロジー、高分子)
- 製剤設計 (製剤の特徴、試験法)
これらの分野からバランスよく出題されるため、幅広い学習が必要です。薬物動態学や製剤の性質は理解と暗記が必要となり、そのバランスが重要です。
薬物速度論や一部の製剤の性質は計算問題も含まれるため、単純な暗記だけでは対応できず、しっかりと理解を深めることで応用問題にも対応できるようになります。
02、薬物動態学の図式化
薬剤は、吸収、分布、代謝、排泄のADMEの流れを理解していなければ、問題を解いていても理解するのが困難になります。ADMEプロセスを図式化して理解し、各過程に影響を与える因子を関連付けて覚えることが重要です。
03、計算問題の練習
薬物速度論の計算問題は苦手としている学生は多いです。しかし、毎回必ずと言っていいほど出題されるため、毎日1問でいいので、問題演習して慣れていきましょう。
基本的な計算式や解き方を暗記すれば、応用問題にも対応できるようになるので、根気強く勉強してください。
04、製剤の特徴を整理
各種製剤の特徴、利点、欠点を表にまとめるか、もしくはまとめられているものを活用して、簡単に製剤間の比較ができるようにしておくと、復習で確認するための資料として役立ちます。
05、関連分野との連携
薬剤の分野は「薬理」「病態・薬物治療」「実務」などの分野と密接に関連しているため、横断的な学習を心がけて下さい。ここ最近の国家試験でもこの4分野の連問が出題されています。
これらの分野との関連性を意識しながら学習を進めることで、より効果的な理解が可能になります。最新の薬事法改正や新薬の情報にも注意を払い、
実務実習での経験を活かし、実践的な理解を深めましょう。
06、過去問演習の重要性を理解
過去5〜6年分の薬剤師国家試験問題を最低2回は解くようにしましょう。厚生労働省は過去問から約20%程度を出題すると言及しているため、過去問を解くことで出題傾向を把握し、合格に近づくことができます。
過去問演習は、出題傾向や自分の弱点を把握するに大切ですので、必ず行うようにしてください。
07、正答率の高い問題に注目
正答率70%以上の問題が約200問、60%以上が約230問あるため、これらの基本的な問題を確実に解けるようにすることで、合格に近づけます。優先的に正答率60%、70%以上の問題を解くようにしましょう。
08、インプットとアウトプットのバランス
勉強法は大きく「参考書を読む」(インプット)と「過去問を解く」(アウトプット)の2つに分かれます。これらをバランスよく行うことが重要です。
①参考書で知識をインプットする
大手予備校の参考書や学校のテキストを使い、重要な用語や定義を整理し、理解を深めます。
②関連する問題を解いてアウトプットする
過去問や問題集、模試等を繰り返し解き、間違えた問題は必ず解説を読み、理解するようにしてください。類似問題も解いて、応用力を養うのも良いでしょう。定期的に模擬試験を受験し、現在の実力を確認すると同時に時間配分や問題の傾向も確認しましょう。
③解けなかった問題は再度参考書で確認する
参考書を確認する際は、その問題だけではなく周辺情報も再度確認し、必要であれば自作ノートを作成するなどして、重要ポイントや頻出事項を自分の言葉でまとめたり、図表や色分けを活用したりすると、視覚的に記憶しやすくなります。
このサイクルを繰り返すことで、深い理解と知識の定着が期待できます。
09、苦手分野の克服
苦手な部分はなかなか手を付けるまでに時間がかかると思います。その場合は、得意な分野や好きな分野との関連性を見出すことで理解を深めやすくなります。例えば、薬物動態学が苦手な場合、薬理学との関連を意識しながら学習するなど、工夫を凝らしましょう。
10、まとめ
薬剤分野の学習では、基本的な知識の習得と応用力の養成が重要です。過去問演習を重視しつつ、計算問題や製剤の特徴など、頻出分野を重点的に学習することが効果的です。
また、理解と暗記のバランスを取りながら、他の分野との関連性も意識して学習を進めることが大切です。時間管理を意識しながら、各分野をバランスよく学習し、定期的に模擬試験などで実力を確認することで、着実に国家試験対策を進めることができます。
薬剤師として必要な知識と技能を身につけ、自信を持って試験に臨めるよう、計画的かつ効率的に学習を進めましょう。国家試験合格後も、継続的な学習が求められる薬剤師という職業において、この学習習慣は大いに役立つはずです。
CES薬剤師国試予備校 講師
アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中