2027年度、私立薬学部8校が定員減へ|昭和医科・広島国際などを一次資料で解説


薬学教育ニュース|2026年7月22日時点

2027年度、私立薬学部8校が定員減へ|昭和医科・広島国際などの申請内容と受験・国試への影響

文部科学省は、2027年度(令和9年度)からの私立大学の収容定員変更に係る学則変更認可申請を公表しました。2026年7月公表分では、昭和医科大学・鈴鹿医療科学大学・広島国際大学・九州医療科学大学の4校が、6年制薬学科の入学定員を合計160人減らす申請をしています。この記事では、4月公表分も含めた2027年度の薬学部再編を一次資料から整理し、薬学部受験生・在学生・薬剤師国家試験受験生への影響を解説します。

先に結論

今回公表されたのは、あくまで認可申請です。現時点で認可結果が確定したという意味ではありません。また、定員減は「薬剤師国家試験の難易度が上がる」「在学生の卒業枠が減る」という話でもありません。背景には、18歳人口の減少、私立薬学部の定員未充足、薬学教育の質保証、将来の薬剤師需給を踏まえた養成規模の適正化があります。

2026年7月公表分|4校で合計160人減

文部科学省の「令和9年度からの私立大学等の収容定員の変更に係る学則変更認可申請一覧」に掲載された、6年制薬学科の変更申請は次の4校です。

大学・学科 2026年度 2027年度申請 減員数 削減率
昭和医科大学 薬学部薬学科 200人 140人 60人減 30.0%
鈴鹿医療科学大学 薬学部薬学科 100人 90人 10人減 10.0%
広島国際大学 薬学部薬学科 120人 70人 50人減 41.7%
九州医療科学大学 薬学部薬学科 100人 60人 40人減 40.0%
合計 520人 360人 160人減 30.8%

出典:文部科学省「令和9年度からの私立大学等の収容定員の変更に係る学則変更認可申請一覧」2026年7月申請一覧PDF。削減率はCES薬剤師国試予備校が定員差から算出。

4月公表分を含む2027年度の全体像

2027年度の定員変更申請は、2026年4月にも公表されています。薬学関係では、医療創生大学と城西国際大学が薬学科の入学定員を0人とし、新潟薬科大学と長崎国際大学が減員する内容でした。

大学・学科 申請前 2027年度申請 増減
医療創生大学 薬学部薬学科 40人 0人 40人減
城西国際大学 薬学部医療薬学科 60人 0人 60人減
新潟薬科大学 薬学部薬学科 130人 90人 40人減
長崎国際大学 薬学部薬学科 120人 100人 20人減

4月分と7月分を申請書上の定員差で単純合算すると、薬学関係は8校で年間320人減となります。ただし、募集停止の公表時期と学則上の定員変更時期は一致しない場合があります。「2027年度入試で前年より必ず320席減る」とそのまま読み替えるのではなく、各大学の2027年度募集要項で最終確認する必要があります。

出典:文部科学省「令和9年度からの私立大学の収容定員の変更に係る学則変更認可申請一覧(2026年4月)」

なぜ薬学部の定員削減が続くのか

1.志願者減少と定員未充足

文部科学省は、私立大学薬学部の志願倍率と入学志願者数が減少傾向にあり、入学定員充足率が80%以下の大学が約3割に達していると説明しています。定員に合わせて教員・実習設備・学生支援体制を維持する6年制薬学部では、入学者数と定員の大きなずれが長期化すると、教育資源の配分にも影響します。

2.「入学しやすさ」と「6年間で薬剤師になる難しさ」の隔たり

薬学部では、入試合格がゴールではありません。基礎科目、専門科目、進級試験、薬学共用試験(CBT・OSCE)、実務実習、卒業試験、薬剤師国家試験を順に突破する必要があります。文部科学省の2025年度調査では、私立6年制薬学科全体の2025年度入学定員充足率は91.2%でしたが、2019年度入学生の標準修業年限内の卒業率は65.8%、国家試験合格まで到達した割合は56.8%でした。大学間の差も大きく、定員の適正化は教育の質保証と切り離せない課題です。

3.将来的な薬剤師の総数と、地域・業態偏在は別問題

厚生労働省の需給推計では、将来的に薬剤師の供給が需要を上回る可能性が示されています。その一方で、現在も地域による偏在があり、特に病院薬剤師の不足感が指摘されています。したがって政策課題は、全国一律に人数を増やすことではなく、養成規模を適正化しながら、必要な地域・病院へ人材が届く仕組みをつくることです。

4.2025年度から6年制薬学科の新設・定員増を原則抑制

国は、地域の薬剤師不足を解消するための人材養成など一定の例外を除き、2025年度開設分から6年制薬学科の新設と収容定員増を抑制する方針を導入しました。今回の減員申請は個々の大学の判断ですが、薬学教育全体が「規模の拡大」から「定員適正化と質の確保」へ移っている流れの中にあります。

重要:文部科学省の申請一覧には、各大学が減員を判断した個別理由までは記載されていません。少子化、充足率、教育の少人数化、学部構成の見直しなどは全体背景として考えられますが、各大学の意図を断定することはできません。

4大学の定員充足率・国試合格率から見えること

今回の4校を「定員割れや国家試験合格率が低い大学だけ」と捉えるのは正確ではありません。文部科学省の2025年度入学状況と、厚生労働省の第111回薬剤師国家試験結果を並べると、大学ごとに状況が異なることが分かります。

大学 2025年度
入学定員充足率
第111回国試
新卒合格率
新卒合格者/受験者
昭和医科大学 104.5% 85.71% 144人/168人
鈴鹿医療科学大学 77.0% 90.32% 56人/62人
広島国際大学 47.5% 70.27% 52人/74人
九州医療科学大学 50.0% 100.00% 30人/30人

入学定員充足率は文部科学省「薬学部における修学状況等 2025年度調査結果」、国試結果は厚生労働省「第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数」によるものです。入学者と国試受験者は異なる年度・集団であり、両数値に直接の因果関係を示すものではありません。

昭和医科大学は2025年度に定員を上回る入学者を確保し、第111回国試の新卒合格率も全国新卒平均86.25%に近い水準です。それでも60人減を申請しているため、今回の動きを「学生が集まらない大学だけの縮小」と説明することはできません。

一方、広島国際大学と九州医療科学大学は2025年度の入学定員充足率が50%前後であり、定員を実際の入学規模へ近づける意味合いが考えられます。九州医療科学大学は第111回国試で新卒30人全員が合格しており、定員充足率と単年度の新卒国試合格率は別の指標であることも分かります。

定員減により1人当たりの教育資源が厚くなる可能性はありますが、教員配置や支援内容が自動的に改善するとは限りません。受験生は定員だけでなく、進級率、卒業率、卒業判定の方針、国試対策、実習支援まで確認することが大切です。

受験生・在学生・国試受験生への影響

2027年度の受験生

募集人員が減れば、同じ志願者数なら競争率が上がる可能性があります。ただし、志願者数や合格者数も変動するため、定員減だけで「必ず難化する」とは断定できません。認可結果と正式な募集要項を確認しましょう。

現在の在学生

今回の申請は将来の入学定員に関するものです。在学生の在籍資格、進級基準、卒業要件、国家試験受験資格が定員減によって自動的に変わるものではありません。個別変更は大学の公式案内を確認してください。

薬剤師国試受験生

大学の定員と国家試験の合格基準は別制度です。今回の定員変更申請により国試の合格者枠が設けられたり、合格基準が直接変わったりするわけではありません。目の前の学習計画を崩す必要はありません。

国試対策で本当に重要なこと

第111回薬剤師国家試験は、全体合格率68.49%に対し、新卒合格率は86.25%、既卒合格率は41.33%でした。大学再編のニュースに不安を感じるより、現役のうちに物理・化学・生物の基礎を固め、薬理・病態・薬物治療・実務をつなげ、卒業試験と国家試験の学習を並行させることが重要です。

これからの薬学部選びで確認すべき指標

薬学部再編が進む時代には、偏差値や単年度の国試合格率だけで大学を選ばないことが大切です。最低でも次の項目を確認しましょう。

① 入学定員充足率:学生募集が安定しているかを確認する指標です。

② 5年次進級率・6年間の卒業率:入学後にどれだけの学生が順調に進めるかを確認します。

③ 6年間ストレート国試合格率:入学者を分母に、標準修業年限で国試合格まで到達できる割合を見ます。

④ 新卒と既卒の国試合格率:「総数」だけでなく受験区分別に確認します。

⑤ 卒業判定と国試出願の関係:出願者・受験者・卒業者数の差も確認します。

⑥ 補習・担任・個別支援:低学年の基礎補強、再試対策、CBT、卒試、国試対策の具体策を確認します。

⑦ 学費と留年時の負担:6年間の総額だけでなく、留年・休学時の学費や奨学金条件も確認します。

まとめ|薬学部は「定員の大きさ」から「教育成果の質」へ

2026年7月公表分では、昭和医科大学・鈴鹿医療科学大学・広島国際大学・九州医療科学大学の4校が、2027年度から6年制薬学科の入学定員を合計160人減らす申請を行いました。4月公表分を含めると、申請書上は8校で計320人減となります。

これは、私立薬学部の定員未充足だけでなく、6年間の修学成果、薬学教育の質保証、将来の薬剤師需給まで含む構造変化です。ただし、減員校の状況は一様ではなく、定員充足率や国試合格率が高い大学も含まれています。

受験生は正式な2027年度募集要項を確認し、偏差値だけでなく進級率・卒業率・6年間ストレート国試合格率・学習支援まで比較してください。在学生と国試受験生は、定員減のニュースを自分の進級・合格枠の縮小と誤解せず、現在の弱点と学習計画に集中することが大切です。

よくある質問

2027年度の薬学部定員減は、すでに決定していますか?

いいえ。2026年7月22日時点で公表されているのは認可申請一覧です。今後の認可結果と各大学の正式な募集要項を確認してください。

今回、定員減を申請した薬学部はどこですか?

2026年7月公表分は、昭和医科大学、鈴鹿医療科学大学、広島国際大学、九州医療科学大学の6年制薬学科です。2026年4月公表分には、医療創生大学、城西国際大学、新潟薬科大学、長崎国際大学が掲載されています。

定員が減ると、薬学部入試は難しくなりますか?

同じ志願者数なら倍率が上がる可能性はありますが、志願者数、合格者数、入試方式も変わります。定員減だけで一律に難化すると断定はできません。

現在在学中の学生の進級や卒業に影響しますか?

将来の入学定員変更が、在学生の進級基準や卒業要件を自動的に変更するものではありません。大学から個別の制度変更が案内された場合は、その公式情報を確認してください。

薬剤師不足といわれるのに、なぜ薬学部の定員を減らすのですか?

全国総数の将来的な需給と、地域・勤務先別の偏在は別の問題だからです。将来的には供給超過の可能性がある一方、現在も地域や病院では不足感があります。総定員の適正化と偏在対策を同時に進める必要があります。

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執筆・情報確認

CES薬剤師国試予備校 講師チーム

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参考文献・一次情報

文部科学省|令和9年度からの私立大学等の収容定員の変更に係る学則変更認可申請一覧

文部科学省|2026年7月申請一覧PDF

文部科学省|2026年4月申請一覧PDF

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