【2027年度最新】後悔しない薬学部の選び方|全国大学の偏差値・国試合格率・研究施設を徹底比較

薬学部は現在、私立大学を中心に全国で数多く設置されています。ジェネリック医薬品の普及やチーム医療における薬剤師の役割拡大など、医療現場で薬剤師が担う役割はますます重要になっています。一方で、少子化と定員割れを背景に薬学部は「淘汰・再編」の局面に入りつつあります。2027年度入試に向けて、全国の薬学部の数・地域、難易度、そして最新の薬剤師国家試験合格率について、公的データをもとに整理しました。
- 薬学部を持つ大学は全国で約78校。うち約8割が私立で、国公立は19校(国立14・公立5)と少数。
- 2025年度から薬学部の新設・定員増は原則不可に。姫路獨協大学が全国初の募集停止を発表するなど、増設から抑制へと潮目が変わった。
- 薬剤師国家試験の合格率は全体で約68〜69%。国公立は8割超と安定する一方、私立は大学ごとに約26〜96%と差が非常に大きい。
- 志望校選びでは、偏差値だけでなく大学ごとの国試合格率とサポート体制を必ず確認することが重要。
全国の薬学部の数と地域
文部科学省の資料によると、薬学部(6年制薬学科)を設置する大学は全国で約78校です。内訳は国立14・公立5・私立59前後で、約8割を私立が占めます。国公立は合計19校と少ないため、薬学部進学では私立が選択の中心になります。
※国際医療福祉大学(大川・成田)と徳島文理大学(徳島・香川)はそれぞれ2キャンパスに薬学部を持つため、「学部数」で数えるとやや多くなります。また、大学の新設・募集停止により校数は年度によって変動します。
国公立薬学部は北海道大学から長崎大学・熊本大学・九州大学まで全国各地に点在しており、自宅から通える距離に国公立薬学部がある人も多いはずです。倍率・難易度は高いですが、まずは通いやすい国公立をチェックしてみてください。
一方、私立薬学部は首都圏・関西圏などの大都市圏に集中しています。ただし福島県のように三大都市圏以外で複数の私立薬学部を抱える県もあり、慶應義塾大学や立命館大学など知名度の高い総合大学に置かれた薬学部も少なくありません。
【2027年度版】全国の薬学部 偏差値一覧
全国の薬学部について、入試難易度の目安となる偏差値を地域別にまとめました。志望校選びの参考にしてください(最新の合格率データは次章で詳しく解説します)。
| 大学名 | 区分 | 偏差値目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ■ 国立大学(14校) | |||
| 北海道大学 | 国立 | 62.5 | |
| 東北大学 | 国立 | 60.0 | |
| 千葉大学 | 国立 | 62.5 | |
| 東京大学 | 国立 | 70.0 | 研究者養成が中心 |
| 富山大学 | 国立 | 57.5 | |
| 金沢大学 | 国立 | 60.0 | |
| 京都大学 | 国立 | 65.0 | 研究者養成が中心 |
| 大阪大学 | 国立 | 62.5 | |
| 岡山大学 | 国立 | 60.0 | |
| 広島大学 | 国立 | 60.0 | |
| 徳島大学 | 国立 | 57.5 | |
| 九州大学 | 国立 | 62.5 | |
| 長崎大学 | 国立 | 60.0 | |
| 熊本大学 | 国立 | 60.0 | |
| ■ 公立大学(5校) | |||
| 岐阜薬科大学 | 公立 | 60.0 | |
| 静岡県立大学 | 公立 | 60.0 | |
| 名古屋市立大学 | 公立 | 62.5 | |
| 和歌山県立医科大学 | 公立 | 57.5 | 2021年開設 |
| 山陽小野田市立山口東京理科大学 | 公立 | 55.0 | |
| ■ 私立大学:北海道・東北地方 | |||
| 北海道科学大学 | 私立 | 42.5 | |
| 北海道医療大学 | 私立 | 42.5 | |
| 青森大学 | 私立 | 35.0 | |
| 岩手医科大学 | 私立 | 40.0 | |
| 東北医科薬科大学 | 私立 | 47.5 | |
| 奥羽大学 | 私立 | 35.0 | |
| 医療創生大学 | 私立 | 35.0 | |
| ■ 私立大学:関東地方 | |||
| 国際医療福祉大学 | 私立 | 47.5 | 大川・成田に薬学部 |
| 高崎健康福祉大学 | 私立 | 45.0 | |
| 城西大学 | 私立 | 42.5 | |
| 城西国際大学 | 私立 | 37.5 | |
| 日本薬科大学 | 私立 | 37.5 | |
| 千葉科学大学 | 私立 | 35.0 | |
| 順天堂大学 | 私立 | 52.5 | 2024年開設 |
| 慶應義塾大学 | 私立 | 62.5 | |
| 北里大学 | 私立 | 52.5 | |
| 昭和医科大学 | 私立 | 52.5 | 旧・昭和大学(2025年4月改称) |
| 昭和薬科大学 | 私立 | 52.5 | |
| 東京薬科大学 | 私立 | 52.5 | |
| 東京理科大学 | 私立 | 57.5 | |
| 東邦大学 | 私立 | 52.5 | |
| 日本大学 | 私立 | 50.0 | |
| 星薬科大学 | 私立 | 57.5 | |
| 明治薬科大学 | 私立 | 55.0 | |
| 武蔵野大学 | 私立 | 50.0 | |
| 帝京大学 | 私立 | 45.0 | |
| 帝京平成大学 | 私立 | 42.5 | |
| 横浜薬科大学 | 私立 | 37.5 | |
| 湘南医療大学 | 私立 | 40.0 | 2022年開設 |
| ■ 私立大学:中部地方 | |||
| 新潟薬科大学 | 私立 | 40.0 | |
| 北陸大学 | 私立 | 37.5 | |
| 岐阜医療科学大学 | 私立 | 40.0 | |
| 愛知学院大学 | 私立 | 45.0 | |
| 金城学院大学 | 私立 | 45.0 | |
| 名城大学 | 私立 | 52.5 | |
| 鈴鹿医療科学大学 | 私立 | 42.5 | |
| ■ 私立大学:近畿地方 | |||
| 京都薬科大学 | 私立 | 55.0 | |
| 同志社女子大学 | 私立 | 50.0 | |
| 立命館大学 | 私立 | 55.0 | |
| 大阪医科薬科大学 | 私立 | 52.5 | |
| 大阪大谷大学 | 私立 | 42.5 | |
| 近畿大学 | 私立 | 52.5 | |
| 摂南大学 | 私立 | 45.0 | |
| 神戸学院大学 | 私立 | 45.0 | |
| 神戸薬科大学 | 私立 | 50.0 | |
| 武庫川女子大学 | 私立 | 50.0 | |
| 兵庫医科大学 | 私立 | 47.5 | |
| 姫路獨協大学 | 私立 | ― | 2025年度募集停止(全国初) |
| ■ 私立大学:中国・四国地方 | |||
| 就実大学 | 私立 | 45.0 | |
| 広島国際大学 | 私立 | 42.5 | |
| 福山大学 | 私立 | 37.5 | |
| 安田女子大学 | 私立 | 45.0 | |
| 徳島文理大学 | 私立 | 37.5 | 徳島・香川に薬学部 |
| 松山大学 | 私立 | 42.5 | |
| ■ 私立大学:九州地方 | |||
| 福岡大学 | 私立 | 52.5 | |
| 第一薬科大学 | 私立 | 35.0 | |
| 長崎国際大学 | 私立 | 40.0 | |
| 九州医療科学大学 | 私立 | 37.5 | 旧・九州保健福祉大学 |
| 崇城大学 | 私立 | 40.0 | |
※偏差値は大手予備校(河合塾等)の最新予想を目安に記載しています。数値は模試・年度・入試方式(前期/中期/推薦等)によって変動するため、必ず各予備校・大学の最新データをご確認ください。募集停止校・改称校は本文の説明もあわせてご覧ください。
【最新】薬剤師国家試験の合格率データ
志望校を選ぶうえで、偏差値と並んで重要なのが薬剤師国家試験の合格率です。ここでは厚生労働省が公表した最新データ(第110回・第111回)をもとに整理します。
全体の合格率は約68〜69%で推移
直近の薬剤師国家試験の全体合格率は、第110回(2025年)が68.85%、第111回(2026年)が68.49%でした。過去5年間はいずれも70%を下回っており、看護師国家試験(約90%)などと比べても難易度の高い試験であることがわかります。新卒に限れば概ね85%前後ですが、既卒は40%台にとどまり、新卒・既卒の合格率差が非常に大きいのも特徴です。
設立主体別:国公立は8割超、私立は大学差が大きい
| 区分 | 合格率(第110回・総数) |
|---|---|
| 国立大学 | 83.75% |
| 公立大学 | 82.88% |
| 私立大学 | 67.52% |
国公立の合格率は毎年8割超で安定しています。一方、私立大学は約26%〜90%と大学によって大きな幅があり、大学ごとに国試への取り組み方・サポート体制が大きく異なることがうかがえます。私立を志望する場合は、大学単位での合格率チェックが欠かせません。
合格率 上位10校(第110回)
| 順位 | 大学名 | 合格率 |
|---|---|---|
| 1 | 千葉大学 | 96.49% |
| 2 | 金沢大学 | 93.33% |
| 3 | 東北大学 | 92.59% |
| 4 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 | 92.25% |
| 5 | 長崎大学 | 91.67% |
| 6 | 北里大学 | 90.41% |
| 7 | 名城大学 | 89.80% |
| 8 | 近畿大学 | 88.34% |
| 9 | 昭和大学(現・昭和医科大学) | 88.24% |
| 10 | 広島大学 | 87.76% |
新卒合格率が100%だったのは東北大学・京都大学の2校。合格者数では東京薬科大学(369人)が最多で、京都薬科大学・帝京大学・明治薬科大学が続きました。
なお最新の第111回(2026年)では、合格率トップが金沢大学(94.87%)、合格者数トップが東京薬科大学(425人)となっています。
大学ごとの詳細な合格率は厚生労働省が毎年公表しています(厚生労働省)。偏差値が同程度でも国試合格率には差が出るため、志望校は「入りやすさ」だけでなく「卒業後に国試まで到達できるか」で見極めましょう。
薬学部の最新動向(新設・募集停止・定員抑制)
かつては薬学部の新設が相次ぎましたが、定員割れの常態化を受けて、2025年度から薬学部の新設・定員増は原則として認められなくなりました(薬剤師不足地域の地域枠など一部例外を除く)。志望校選びでは、こうした再編の動きも押さえておきましょう。
医療系総合大学を中心に、2024年4月に順天堂大学薬学部(定員180名)と国際医療福祉大学成田薬学部(定員120名)が新設されました。以降、新規の薬学部設置は原則凍結されています。
姫路獨協大学が、2025年度(令和7年度)入学者から薬学部の募集を停止しました。6年制薬学部としては全国初の募集停止で、在学生が全員卒業した後に廃部となる見通しです。
北陸大学・武庫川女子大学・福山大学などで定員が削減されるなど、全体として「増設」から「抑制・淘汰」へと局面が変化しています。2027年度入試でも薬学系は減員傾向が続く見込みです。
臨床・研究施設の充実度

薬学部の学びは国家試験合格だけが目的ではありません。高度な臨床スキルの習得や、新薬開発など薬学の発展に貢献する人材の育成も重視されています。研究室への早期配属を行い、最先端の卒業研究に取り組ませる大学も多くあります。
たとえば北里大学薬学部は、附属病院と連携し現役の薬剤師・医師による授業や早期の臨床実習を設けるなど、臨床志向の教育に力を入れています。また九州大学薬学部は、産学連携の研究拠点や薬用植物園を有するなど、創薬研究に取り組みやすい環境が整っています。志望校の公式サイトで、研究室のテーマや施設の充実度を確認してみましょう。
大学ごとの国試対策・サポート体制

6年制薬学部を卒業すると薬剤師国家試験の受験資格が得られます。合格に向けて最も重要なのが国試対策です。専門予備校を活用する学生も多いですが、大学自体に国試対策に取り組みやすい環境やサポート体制が整っていることが望ましいと言えます。
立命館大学薬学部では、直前期に限らず低学年からキャリアセンターの支援を受けて進路や国試対策を相談できます。総合大学の薬学部はキャリア支援が充実している場合が多く、進路を見据えながら計画的に国試対策を進められます。
また福岡大学薬学部は、例年安定した薬剤師国家試験の合格率を維持しています。合格実績は大学公式の薬剤師国家試験の結果ページで公開されているので、志望する際はあわせて確認してみてください。
薬学部受験・志望校選びのよくある質問(FAQ)
- Q. 薬学部の6年制と4年制の違いは何ですか?
- A. 「薬剤師」の国家試験受験資格を得られるのは6年制の薬学科のみです。4年制(薬科学科など)は主に創薬研究者や企業への就職を目指す学科で、卒業しても薬剤師国家試験は受験できないため注意が必要です。
- Q. 私立薬学部の学費はどのくらいかかりますか?
- A. 私立薬学部(6年制)の学費は、6年間の総額で約1,100万〜1,400万円が目安です(国立は6年間で約350万円)。多くの大学で成績優秀者向けの特待生制度や独自の奨学金制度があり、費用負担を抑えることも可能です。
- Q. 偏差値があまり高くない大学でも薬剤師になれますか?
- A. はい、最終的に薬剤師国家試験に合格すれば薬剤師になれます。ただし大学によって国試対策のサポート体制や合格率に差があるため、入学後のストレート合格率(留年せず6年で卒業し国試に合格する割合)などを参考に大学を選ぶことをおすすめします。
- Q. 薬学部は今後、増えますか?それとも減りますか?
- A. 2025年度から薬学部の新設・定員増は原則不可になりました。少子化と定員割れを背景に、姫路獨協大学が全国初の募集停止に踏み切るなど、今後はむしろ「淘汰・定員抑制」の局面に入っています。志望校の定員充足率や国試合格率にも注目しましょう。
まとめ
- 薬学部を持つ大学は全国で約78校。約8割が私立で、国公立は19校と少ない。
- 2025年度から新設・定員増は原則不可。姫路獨協大学が全国初の募集停止となるなど、再編・淘汰の時代に入った。
- 国家試験の全体合格率は約68〜69%。国公立は8割超で安定、私立は大学差が大きい。
- 志望校は偏差値だけでなく、大学ごとの国試合格率・サポート体制・研究環境をあわせて確認する。
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この記事の執筆者
岩崎 陽一(Yoichi Iwasaki)
株式会社アクト代表取締役。医学部専門予備校PMD、CES医師・歯科医師・薬剤師、Meg看護師・獣医師・心理師国試予備校の運営ディレクター。約30年にわたり医療系学部受験や国家試験対策などのカリキュラム作成・指導マネジメントに従事。
