【2026年】第111回薬剤師国家試験 総評|難易度と出題傾向・領域別対策まとめ

第111回薬剤師国家試験(2026年2月実施)の出題傾向・難易度・領域別の対策ポイントを徹底講評します。

試験全体の傾向(第111回の特徴)

第111回薬剤師国家試験の全体としての難易度は、110回と比較して必須問題で点数が取りやすくなった一方、実践問題が難化傾向という印象である。今まで以上に「基礎知識をいかに臨床現場の状況(症例や図表)に当てはめて考えられるか」が試される内容であった。「衛生」「薬理」に関しては 110 回よりも解きやすかったが、「物理」「化学」「実務」は、現場での判断力を問う内容になっており、難しく感じた受験生が多いように考えられる。

必須問題の分野別傾向

必須問題全体としての難易度は、【やや易】であったと考えられる。特に薬理は過去問ベースの類似問題が多く、得点を取りやすい状況だったと考えられる。必須問題は今回の得点源ではあったが、現場視点を重視する出題もあり臨床的理解を求められる印象であった。

1.物理【並】

バリデーションの問題で「図(ヒストグラム)」(問5)を見て選ばせるような、視覚的な理解を問う一歩踏み 込んだ出題があった。

2.化学【やや難】

基礎的な立体化学のZ-E表示の問題(問8)も出題されたが、構造式からその性質を判断するような本質的な 知識(問6)が求められた。

3.生物【並】

免疫、解剖、生化学からバランスよく出題。ペントースリン酸回路の生成物ではなく「基質」を問うなど、過去問の周辺知識を整理できているかを確認する問題(問 12)も見られた。

4.衛生【並】

DHA(疾病リスク低減表示)(問20)など、最新の制度変更や話題性のあるトピックが即座に反映されており、対策不足の受験生には難しく感じたかもしれない。

5.薬理【平易】

基本的な内容が多く出題されており、過去問をやり込んでいれば確実に満点が狙える内容だったため、難易度は高くなかった。

6.薬剤【並】

110 回と同等の難易度であった。トランスポーター(問41)や DDS(問54、問55)などの頻出分野が中心で、計算問題(問46)も含まれていたが、公式をしっかりと理解していれば対応可能なレベルであった。

7.病態・薬物治療【平易】

110 回と比較して解きやすいが、弁膜症の問題(問58)は生物の知識とリンクさせて正答を導く科目横断的な思考が役立必要な内容であった。

8.法規・制度・倫理【平易】

基本的な内容を中心に出題されていた。例年通り、薬剤師の倫理や法律の定義などを穴抜きで問う問題(問72、問74)の出題が見られた。

9.実務【やや難】

110回と比較してやや難化傾向のように感じる。 多職種連携(言語聴覚士)(問88)やクリニカルパス(バリアンス)(問89)など、近年の薬剤師に求められる新しい業務知識が問われていた。

理論問題の分野別傾向

理論問題全体としての難易度は、【並】であったが、科目による難易度の差が大きい印象であった。特に薬剤は、半分以上が計算やグラフの問題であり、思考力と処理速度が求められたため、苦手な受験生には厳しい内容であった。1 つの知識で解ける問題は減り、複数の知識を組み合わせる問題(物理の定量法、生物のアイソザイムなど)が主流になっており、複合的思考が求められる内容となっていた。法規に関しては、数年前の過去問に類似した問題が出題され、近年の傾向だけでは対応できない問題もあった。

1.物理【 】

2.化学【やや難】

110回と同様に全体的に取りにくい傾向にあり、汎用的な知識であっても構造式を絡めて問う応用問題が多い印象であった。生薬に関する問題(問110)は光学顕微鏡の写真とリード文から判断する必要があったため、生薬名を単純に暗記するだけでは対応できないと考えられる。

3.生物【並】

少し解きやすい問題が多く出題されており、実験考察問題(問114)、グラフや図から解答を導く問題(問115、問120)の出題もあった。アロステリック酵素と糖代謝の融合問題(問115)などの異なる単元の知識を 横断的に試される問題があり、知識をつなぎ合わせることができれば得点できたと考えられる。

4.衛生【並】

グラフ・表問題が4問(問122、問124、問126、問138)や構造式の問題(問129、問130、問131)の難易度は例年通りだったが、視覚的な資料解釈が増えた印象であった。新傾向では、GI値と血糖値の変化に関する問題の出題があった。

5.薬理【平易】

病態・薬物治療との連問が4題出題(問154~155、問157~158、問160~161、問167~168)されていたが、全体を通しては、過去問ベースで基本的な薬物の作用機序を問う問題がほとんどであった。

6.病態・薬物治療【並】

薬理との連問が4題出題(問154~155、問157~158、問160~161、問167~168)されたが、例年並みの難易度であった。尿潜血を伴わないタンパク尿の判断や疾病の病態についての根本的なメカニズム(例えば、糸球体構造の破壊の有無)を理解しているかどうかが問われた。全体として既出問題で出題されていた内容が多く、比較的得点しやすい問題が多かった。

7.薬剤【やや難化】

グラフや計算問題が15問中10問ほど出題(問170、問173、問174、問176、問177、問178、問180、問181、問183、問184)されており、例年(約半分)より大幅に増加していた。リード文やグラフからの読み取りに時間がかかるため、時間配分が難しい印象である。

8.法規・制度・倫理【並】

数年以上前の過去問からの類似問題(問144)や6年制国は初登場の非臨床試験の定義に関する問題(問145)が出題されており、広範囲の知識が求められた。

実践問題の分野別傾向

実践問題全体としての難易度は、【やや難】であった。特に「物理」「化学」「生物」などの基礎科目の実践問題が難しい印象であった。基礎薬学の内容を臨床(内視鏡、新薬の構造、疾患の代謝など)と結びつける問題が非常に解きにくかった。ノーベル賞関連(制御性T細胞)や最新のDDS(薬物送達システム)などの最新情報が反映されており、常にアンテナを張っておく必要があった。

1.物理【 】

2.化学【やや難】

レボフロキサシンの分子設計の経緯や開発背景を問う応用的な問題(問206)が出題された。

3.生物【並】

閉塞性黄疸の症例からビリルビン代謝の流れを推測させる問題(問223)が出題されており、症例・検査値と生化学的な知識を融合させる内容だったため、少し解きにくいと感じる受験生がいたのではと考えられる。

4.衛生【平易】

計算問題が5題(問226、問238、問240、問243、問244)出題されており、公式をしっかり理解していれば比較的解きやすかった。過去問ベースでの問題が多く、難易度は低い印象であった。

5.薬理【平易】

110回と比較して解きやすい印象であった。薬の作用機序に関しては、既出問題でも多く見られていたため、比較的得点しやすいと考えられる。保険適用外使用の作用機序に関する問(問255)を問うなど、より実臨床に合った新傾向が見られた。

6.病態・薬物治療【並】

110回同様、情報の出題はなく、病態・薬物治療が出題されており、例年通りの難易度である。例年通り、症例と検査値から患者の疾患を推測させ、適切な薬剤を選択させる症例解析の出題が定着している。過活動膀胱に関する問題(問298)が初出題されていた。

7.薬剤【平易】

薬物動態学8問、製剤学3問の出題であった。例年通り、グラフや医薬品の構造の問題(問283、問284)が出題され、知識と絡めながら解く必要があった。セマグルチドの新しい添加剤(サルカプロザートナトリウム)な どの最新の薬物動態学に関する出題(問283)があった。

8.法規・制度・倫理【平易】

例年、基本を踏まえた上での設問であり、特段難しい問題は見られなかった。難易度的には例年どおり。実際の処方箋をもとに調剤報酬の算定をさせるなど、薬剤師になった時の現場業務に直結した問題(問325)が出題された。

9.実務【平易】

既出問題でも見られたような問題が一定数存在していたため、難易度は高くない。リード文の情報を正確に把握すれば、食物依存性運動誘発アナフィラキシーのなど初見だと難しく感じる問題(問339)でも対応できた印象である。

監修者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。