薬剤師国家試験模試を何度受けても得点が上がらない理由

薬剤師国家試験模試を何度受けても得点が上がらない理由  

―知識の統合力の欠如と再現率70%の法則

1. 得点が伸びない本当の原因は「知識の断片化」

模試を受けるたびに得点が安定しない、努力の割に成果が見えない。多くの受験生がこの「伸び悩み期」に直面します。

しかし、その原因は単なる暗記不足ではなく、知識が断片的で、相互に結びついていないことにあります。

薬剤師国家試験では、物理・化学・生物・衛生や、薬理学・病態治療など分野を横断して問う設問が増えています。また実践問題は、各分野と実務がリンクしており、統合的な知識が必要になっています。そのため、単科目ごとの理解では対応しきれず、たとえば「病態の背景」「薬理作用」が頭の中で一本の線としてつながっていないと、正解にたどり着けません。この”知識の統合力不足”こそが、模試の得点が伸びない最大の要因です。

2. 「努力量=得点」にならないメカニズム

受験生が最も誤解しやすいのは、「勉強時間が多ければ成績は比例的に上がる」という思い込みです。

しかし、学習の成果は直線的ではなく、指数関数的に遅れて現れることがわかっています。特に物理・化学・生物のような概念的科目は、一定量の理解が蓄積するまで可視化されません。模試の得点は、知識の”量”ではなく、”構造化”の深さに依存するのです。

たとえば、物理は、公式を覚えただけでは得点になりません。その起きている現象、それぞれの記号の意味などを理解する必要があります。これらが理解できるようになると、得点の伸びが一気に加速します。

3. 誤答の3分類と修正ステップ

模試の結果分析では、誤答を3つに分類すると本質が見えてきます。

分類 典型的な兆候 修正アプローチ
理解不足 用語を説明できない/機序を言語化できない 教科書に戻り「因果の文章化」
記憶漏れ 一度覚えたが思い出せない 間隔反復(1-3-7-14日)で再定着
誤読 条件・単語の読み違い 設問文を構造単位でマーク・要約

模試の復習は「正誤の確認」ではなく、「誤答理由の把握」が目的です。1回の模試で上位3テーマに絞り、この3分類に沿って原因を特定するだけで、次回の得点変動幅が明確に減少します。

4. 「再現率70%」が成果を安定化させる

理解した内容を再び正答できる確率――再現率が70%を超えると、模試の得点は安定します。再現率は「知っている」のレベルを、「理解できる」「使える」に変換できているかを測る指標です。

測定方法はシンプルです。

  • 過去に誤った問題を5問ずつピックアップし、週中と週末の2回、全く同じ問題を解き直す。
  • 2回目で7割以上正答できれば、知識が定着・統合された証拠です。

再現率の低い問題は、理解→記憶→演習のどこかが欠如しているため、そこを特定して補強すれば、勉強時間を増やさなくても得点は上がります。

5. 学習の停滞期は「統合の前兆」

成績が伸びない時期は、能力の限界ではなく、知識が統合される直前の過程です。

水が100℃で突然沸騰するように、学習もある段階を超えると一気に成果が可視化されます。

停滞期は「沸騰前の99℃」の状態であり、焦りは最大の敵です。

6. 改善のための週次プロトコル

  1. 模試の誤答を3分類し、上位3テーマを抽出
  2. 各テーマを薬理×病態×治療で横断ノート化
  3. 週中・週末に同セットで再現率テスト
  4. 改善後の再現率をグラフで可視化

このサイクルを2週間繰り返すだけで、得点の波が小さくなり、安定軌道に入ります。特に、模試直後の48時間以内に誤答原因を明確化することが最重要です。

7. まとめ

模試で得点が上がらないのは「知識の統合が未完」なだけです。焦って新しい教材を増やすより、既存の知識をつなぐ努力が先決。

再現率70%を目標に、誤答の構造化と横断学習を組み合わせることで、模試の得点は必ず安定し、最終合格ラインへ到達します。

 

監修者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中