薬学部に推薦で合格したら~薬学部入学準備、リメディアルの勧め

薬学部に推薦で合格したら~薬学部入学準備、リメディアルの勧め

 

まずは、薬学部合格おめでとうございます。薬学部への入学が決まり、ホッとしている方も多いでしょう。

緊張の糸が切れ、入学までのんびりと過ごそうと考えている方もいるかもしれません。

サークルなどの楽しい大学生活や6年後の薬剤師になっている自分を想像して、ワクワクしていることでしょう。

 

突然ですが、「薬学部合格=薬剤師になれる」と思っていませんか?一般的には、そう考えるのが普通です。しかし、薬学部の学生たちの中では、「薬学部合格≠薬剤師になれる」が常識なのです。

もちろん、薬剤師になれる人がほとんどですが、その方たちは間違いなく勉強しています。一般入試を経て薬学部に合格した方は、入学直前まで学習する習慣があり、ある程度の学力が維持されています。

 

薬学部に推薦で合格したら

推薦入試を経て薬学部に合格した方は、入学まで半年以上間隔があいてしまい、学力や勉強する習慣が維持されていないことが往々にしてあります。実際、推薦入試を経て入学した方が周りにいましたが、薬学部入学後に勉強で苦労していることが多い印象です。

 

それというのも、薬学部での勉強は、高校と比べ、範囲や内容のレベルが格段に上がってきます。とにかく膨大な量の知識の理解と暗記をこなさなければいけません。

 

大学の講義のスピードは速く、1回の授業で100ページ進むなんてこともざらにあります。授業自体も理解させようというよりも、カリキュラムをこなす方に力を入れているので、非常に分かりづらいのが特徴です。

 

そのため、合格が決まってから薬学部入学までの期間、勉強する習慣がなかったり、学力が維持されていなかったりすると、授業についていけない可能性があり、薬剤師への道のりが遠のいてしまうのです。

 

薬学部に推薦で合格したら

 

薬学部入学準備で何を勉強すればいいの?

大学から入学までの間に課題が出ている場合はもちろん、勉強の習慣を作り、大学の授業についていくために、推薦合格者に出される課題以外に生物や化学を広く浅く復習しておくのもいいでしょう。特に化学に未履修の単元がある場合は場合は、入学後非常に苦労するのでしっかりと勉強しておくことをオススメします。

 

生物や化学の復習と言っても、範囲が広すぎて分からないという方もいるでしょう。科目ごとに優先して勉強しておいた方がよい単元をご紹介したいと思います。

 

化学

化学についてですが、有機化学を予習もしくは復習しておくと、すんなりと大学の講義も理解できるようになります。有機化合物の名前や構造など、知っている前提で授業は進んでいきます。大学に入って覚えようとすると、授業を理解する以前に、基礎的な知識を身につけるのに時間を費やし、その結果授業を理解するのにさらなる時間を使うことになるのです。薬学部の授業は化学だけではないので、その他の科目の勉強も疎かになり、進級も危ぶまれてきます。

 

生物

生物についてですが、解糖系やクエン酸回路、電子伝達系などの生化学分野、身体の機能などの生理学分野をしっかりと復習し、理解しておくとよいでしょう。この範囲は、高校よりもさらに詳しく勉強することになるので、全体像をとらえておくのが良いと思います。

 

数学

生物や化学以外で勉強しておくと良い科目は、数学です。薬学部の学生を指導して感じるのは、意外と計算が苦手な人が多いということです。対数計算、指数計算などはもちろん、四則計算(足し算、引き算、掛け算、割り算)すらまともにできない方が中にはいます。薬物の濃度や単位変換など、薬学部で計算ができないと致命的です。数学全般は復習しなくて大丈夫なので、対数・指数計算や四則計算を暗算でできるくらいにはしておくとよいでしょう。

 

国際的な医療人の育成を目指すため、医学英語や薬学英語も学びます。時間があれば、医学系の論文等に目を通すと知見が広がり、国際的な医療人に一歩近づけると思います。

オススメ参考書

改訂カラー版 理系なら知っておきたい 化学の基本ノート[物理化学編]

改訂カラー版 理系なら知っておきたい 化学の基本ノート[有機化学編]

理系なら知っておきたい生物の基本ノート 生化学・分子生物学編

化学計算の考え方解き方 (シグマベスト)

 

薬学部での勉強と薬剤師国家試験はどんな内容?

では、これほどまでに高校での範囲の予習・復習を必要とする薬学部での勉強内容はどのようなものでしょうか?

 

薬剤師国家試験について

まずは薬剤師国家試験はどんな内容か見ていきましょう。薬剤師国家試験では、下記9科目に関して出題されます。

  1. 物理
  2. 化学
  3. 生物
  4. 衛生
  5. 薬理
  6. 病態・薬物治療
  7. 薬剤
  8. 法規・制度・倫理
  9. 実務

①物理②化学③生物では、薬や体に関する基礎的な知識や現象について学びます。 それを踏まえ、⑤薬理では、薬の作用機序を学んでいきます。

⑥病態・薬物治療では、薬理で学んだ薬の作用機序と患者の病態を照らし合わせ、どのような薬物治療を選択すればよいかを勉強します。

⑦薬剤では、薬が体の中で吸収・分布・代謝・排泄(ADME)されていくのかを学ぶとともに薬の性質や製造工程を学ぶことで、今後の創薬に貢献できるようにします。

そのほか、薬剤師の任務である公衆衛生の向上に関する知識を深めるための④衛生や薬剤師に関わる法律や倫理を学ぶ⑧法規・制度・倫理、病院や薬局などの実践的な知識を学ぶ⑨実務があります。

 

 

薬学部の進級について

薬学部入学後は、定期試験はもちろん、ほぼ毎年進級試験があり、それを突破しなければ進級できません。

 

それに加え、4年生の時に全大学共通のCBTと呼ばれる試験があります。CBTは1年生~4年生までの全範囲の試験になり、これを突破しなければ、5年生の病院・薬局実習には行くことができなくなります。病院・薬局実習が終わり、晴れて6年生になれば、卒業論文や就職活動などのイベントが国家試験前に盛り沢山です。

 

薬学部の集大成である薬剤師国家試験は、6年生になれば皆が受けられるわけではなく、これまでの試験以上に難しい卒業試験を突破した者だけが受けることができます。

 

この卒業試験は薬剤師国家試験以上に難しいです。その理由をご存じですか?国家試験の合格率は、大学の評価につながります。国家試験に合格する見込みのない学生が国家試験を受けると、どうなるでしょう?当然のことながら、不合格になります。つまり大学の国家試験合格率を下げるわけです。

 

大学としては、国家試験に合格できる学力のある学生のみをふるいにかけたいのです。そうすれば、国家試験の合格率が上がり、来年度の入学希望者増加に寄与します。

 

進級するのはかなり大変

ここで、私立薬学部卒の私の経験を少し紹介します。私が卒業した薬学部では、200人程度の学生が一緒に入学しました。6年生までストーレートで進級した学生は何人だと思いますか?なんと、50人しかいませんでした。その中で国家試験に合格したのは、48人。200人いて、たったの48人しか受かっていないのにも関わらず、合格率は96%です。これが薬学部の国家試験合格率のカラクリです。 いかに多くの人が進級できず、留年しているか分かると思います。それほど、薬学部の進級はシビアなのです。

 

CES薬剤師国試予備校では「リメディアルコース」があります!

ここまで読み進めて、薬学部に合格したけれど、授業についていけるか不安という方や進級できるか不安という方に、オススメしたいコースがあります。

それはCES薬剤師国試予備校が新しく開設した「CESリメディアルコース」です。

 

リメディアルコース

 

「リメディアル」ってあまり聞いたことないという方に向けて、リメディアルについて少し説明します。「リメディアル」とは、特に大学教育を受けるにあたって不足している基礎学力を補うために行われる教育を指します。

 

薬剤師免許は、毎年行われる「定期試験」・「進級試験」、4年生の「CBT」、6年生の「卒業試験」、6年生の終わりにある「国家試験」と沢山の関門を突破した者だけが取得できる資格です。最初でつまずかないためにも、苦手な科目、未履修の科目などを一緒に勉強して、不足している基礎学力を補ってみませんか?

 

入学前に勉強しておいた方がよい、化学、生物、物理、数学、英語に対応していますので、興味のある方は是非ご検討下さい。

 


著者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中