薬学部生必読!進級対策・留年防止で押さえるべきポイントと勉強法

薬学部生必読!進級対策で押さえるべきポイントと勉強法

薬学部の進級対策・留年防止について

薬学部に限らず大学に入学すると、サークルや部活、学祭など楽しいことがたくさん待っています。薬学部の新入生は、6年後の薬剤師になっている自分を想像して、ワクワクしていることでしょう。

しかし、遊んでばかりでは進級できないのが薬学部の現実。漠然と「薬学部入学=薬剤師になれる」と思っていては、薬剤師になることはおろか進級することすら危ぶまれます。

 

薬学部での勉強は、高校と比べ、範囲や内容のレベルが格段に上がってきます。とにかく膨大な量の知識の理解と暗記をこなさなければいけません。そのため、進級するために日頃からコツコツと勉強する癖をつけておくことが重要でしょう。

薬学部進級におすすめな参考書もぜひご覧ください!

では、どのように進級対策・留年防止対策をしていけばいいのか?気になる進級対策を、学年ごとに紹介していきます。

薬学の基礎を固め、教養を高める

1年生〜薬学の基礎を固め、教養を高める

薬学部に入学後、すぐに薬理学や病態生理学などの専門科目を勉強することはありません。

1年生の時は、薬の作用や体のしくみに関する基本を理解するため、生物学・化学・物理学・有機化学・物理化学などの基礎科目を学びます。高校化学の延長もしくはより深い内容を勉強していきます。

ここでつまずくと、今後の薬理や薬物治療等の専門科目でも単位を落とす可能性があります。1年生の時は他の学年に比べて、実習や実験、レポートなどが少ないので、この時期に勉強の仕方や習慣を身につけておくことをオススメします。

 

以下のことを心がけてみてください。

・暗記に頼らず「理解して覚える」

・その日にあった授業の復習はその日のうちにする

・週間スケジュールを作って勉強にメリハリをつける

 

具体的な進級対策としては、まずは授業にしっかりと出席することです。薬学部は大学にもよりますが、欠席日数制限があり、厳しい大学だと無断欠席は1回でも許されない場合があります。入学してから少し経つと、大学生活に慣れてきて、授業をサボりだす生徒をちらほら見かけるようになります。そういった生徒は必ずと言っていいほど2年生に進級できません。

というのも、出席日数が足りないと、定期試験を受験する資格が無くなり、試験すら受けさせてもらえません。そのため、授業には必ず出席しましょう。

 

定期試験の範囲は1ヵ月前くらいから公開されていくので、そのタイミングで試験勉強を始めると、定期試験はしっかりと準備して挑むことができます。2年生以降になると専門科目も増え進級対策は難しくなります。1年生のうちから定期試験対策のスケジュールをしっかりと立てる習慣をつけるようにしましょう。薬学部の定期試験は、過去問から再度出題されることが多いので、過去問分析も忘れずにしておきましょう。

医療人として自覚をもち、専門科目スタート

2年生〜医療人として自覚をもち、専門科目スタート

2年生になると、1年生で学んだ基礎科目をより深い視点から勉強していきます。

免疫学や細胞生物学、微生物学などに加え、薬理学や病態生理学などの専門科目がスタートします。1年生でしっかりと基礎を固めておけば、間違いなく理解できると思います。大学によっては暗記で乗り切れる科目もありますが、暗記に頼った勉強は留年の原因になります。1年生の進級対策でも書いたように、早い段階から「理解して覚える」勉強方法を身につけるようにしましょう。

しかしながら、薬理学では薬の数が膨大なため、名前と作用機序の一致が難しくなっていくので、ゴロなどで忘れないようにしておきましょう。 

 

語呂ナビ

https://uzuchannel.com/goro-navigation-pharmacy/ 

 

具体的な進級対策は、1年生の時と同じで授業に出席し、定期試験対策を1ヵ月前くらいから開始することです。

大学によりますが、3年生へ進級する際に定期試験とは別に進級試験が課される大学もあるようなので、確認しておきましょう。

薬の専門家として基礎力を高める

3年生〜薬の専門家として基礎力を高める

3年生になると、基礎科目はほとんどなく、引き続き薬理学や病態生理学などの専門科目を勉強していきます。

これに、医薬品の製造・加工から投与に至る広い範囲を扱う製剤学や薬の体内での吸収・分布・代謝・排泄(ADME)を勉強する薬物動態学が加わります。

薬物動態学は計算が多いので、計算が苦手な人は苦労する科目です。

具体的な進級対策は、低学年の時と同じです。授業に出席し、定期試験対策を早めにしておきましょう。過去問対策も忘れずに。

実務実習に向けて知識や技能を身につける

4年生〜実務実習に向けて知識や技能を身につける

4年生では、引き続き専門科目を勉強していきます。

4年生は、次の5年生で実務実習を受けるため薬学共通試験を突破しなければいけません。薬学共通試験とは、CBT(Computer-Based Testing)と呼ばれる筆記試験とOSCE(Objective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験)と呼ばれる実技試験があります。

 

これらは、薬学生が実務実習を開始する前に知識・技能や態度が一定の基準に達しているかを評価するための試験になります。

CBTは大学が出題するのではなく、外部の薬学共用試験センターの試験になるため、大学の定期試験を突破していても、CBTに合格しないと5年生には進級できず、実務実習も行うことができません。 

 

薬学共用試験センター~CBT概要のリンク

https://www.phcat.or.jp/cbt/ 

具体的なCBT対策をご紹介していきます。4年生の後半にかけてCBTは行われるため、4年生の夏休み後くらいから本格的に過去問や模試などで対策していくのが良いです。CBTで出題される問題は、受験生ごとに異なっており、各受験生が受験するCBTの難易度は変わらない仕組みになっています。しかし、同じような問題が毎回出題されるので、模試やCBT対策の問題集をとにかく何度も解いて傾向をつかみましょう。 

 

薬学共用試験センター~OSCE概要のリンク

https://www.phcat.or.jp/osce/ 

次に、具体的なOSCE対策をご紹介していきます。OSCEに関しては、大学がしっかりと対策をしてくれます。OSCEの出題範囲は、注射剤や軟膏などの調剤の手技から患者対応のシミュレーションと幅広いです。時間が許される限り、繰り返し練習しましょう。また友達と交代で患者役をし、手順を確認しあうのもオススメです。

 

病院と調剤薬局で臨床現場で実務経験を積む

5年生〜病院と調剤薬局で臨床現場で実務経験を積む

5年生では、病院・薬局で約5ヶ月に渡って実務実習を行います。

この期間は、定期試験などはほとんどなく、実務実習をしっかりと終了することで単位を取得することができます。実務実習は、国家試験での実務を解く上でとても大切です。ここで、しっかりと現場での実務を学んでおきましょう。

 

実務実習の期間は、座学での勉強の習慣が無くなることがあります。そのため、実務実習以外の時間は、国家試験の必須問題だけでも自主的に勉強しておくと、6年生になった時に苦労せずに済むと思います。また多くの大学で6年生への進級テストが課されるようになりましたので、その試験内容も確認して対策を立てるようにしましょう。

国家試験を受けるためにまずは卒業試験突破

6年生〜国家試験を受けるためにまずは卒業試験突破

ここまでくれば、あとは国家試験だけだと思っていませんか?

実は6年生は、国家試験以外にもすることが沢山あります。座学での単位はほとんど取得しているので、定期試験は他学年に比べると少なくなります。

しかしながら、最終学年のため、研究室での卒業論文や卒業試験など国家試験にむけて突破しておかないといけないことが山盛りです。それと同時に就職活動も進めていかないといけないので、一番忙しい学年になります。

 

卒業試験はこれまでの定期試験とは比べ物にならないほど難しくなります。もっと言えば、薬剤師国家試験以上に難しいです。

国家試験の合格率は、大学の評価につながります。国家試験に合格する見込みのない学生が国家試験を受けると、どうなるでしょう?当然のことながら、不合格になります。

 

つまり、大学の国家試験合格率を下げるわけです。大学としては、国家試験に合格できる学力のある学生のみをふるいにかけたいのです。そうすれば、国家試験の合格率が上がり、来年度の入学希望者増加に寄与するため、卒業試験は難しくなっています。

大学によりますが、卒業試験は過去2~3年分の国家試験の過去問が出題範囲であることが多いので、国家試験の過去問2~3年分を9月までに1度は解いておきましょう。

 

国家試験とは異なり、教授独特の問題が出題されることが多々あるので、卒業試験の過去問も2~3年分解いておくことをオススメします。
国家試験の対策はまた別の機会にお伝えします。

 
 

薬学部5年生進級率との6年間ストレート合格率(2017年度入学生)

2023年(令和6年)度「調査結果」です。国公立薬学部、私立薬学部2017年度入学者の留年せずに5年生になった人数と進級率、留年せずに薬剤師国家試験に6年間で合格した6年間ストレート合格者数と合格率。

*文部科学省HP:薬学部における就学状況等2013年~2023年

 

 

  2017年度入学時 2021年度(5年次) 5年次(進級率) 卒業者数 卒業率 国家試験合格者数 合格率
国立大学
北海道大学 30 30 100.0% 29 96.7% 27 90.0%
東北大学 20 20 100.0% 20 100.0% 20 100.0%
千葉大学 42 41 97.6% 40 95.2% 37 88.1%
東京大学 8 8 100.0% 8 100.0% 7 87.5%
富山大学 57 50 87.7% 50 87.7% 46 80.7%
金沢大学 35 35 100.0% 35 100.0% 30 85.7%
京都大学 31 29 93.5% 23 74.2% 22 71.0%
大阪大学 26 25 96.2% 22 84.6% 20 76.9%
岡山大学 41 39 95.1% 36 87.8% 34 82.9%
広島大学 38 36 94.7% 34 89.5% 30 78.9%
徳島大学 41 40 97.6% 39 95.1% 38 92.7%
九州大学 30 30 100.0% 29 96.7% 26 86.7%
長崎大学 41 40 97.6% 32 78.0% 31 75.6%
熊本大学 55 45 81.8% 45 81.8% 40 72.7%
国立大学合計 495 468 94.5% 442 89.3% 408 82.4%
公立大学
岐阜薬科大学 130 101 77.7% 101 77.7% 92 70.8%
静岡県立大学 81 81 100.0% 81 100.0% 77 95.1%
名古屋市立大学 60 53 88.3% 51 85.0% 49 81.7%
和歌山県立医科大学
山口東京理科大学
公立大学合計 271 235 86.7% 233 86.0% 218 80.4%
私立大学
北海道医療大学 176 119 67.6% 93 52.8% 83 47.2%
北海道科学大学 219 157 71.7% 132 60.3% 118 53.9%
青森大学 50 26 52.0% 22 44.0% 14 28.0%
岩手医科大学 104 58 55.8% 51 49.0% 47 45.2%
東北医科薬科大学 325 256 78.8% 229 70.5% 199 61.2%
医療創生大学 86 42 48.8% 35 40.7% 32 37.2%
奥羽大学 104 74 71.2% 61 58.7% 36 34.6%
国際医療福祉大学 193 97 50.3% 89 46.1% 83 43.0%
国際医療福祉大学(福岡薬学部)
高崎健康福祉大学 95 75 78.9% 67 70.5% 61 64.2%
城西大学 277 185 66.8% 120 43.3% 110 39.7%
日本薬科大学 260 107 41.2% 59 22.7% 49 18.8%
城西国際大学 111 69 62.2% 60 54.1% 34 30.6%
千葉科学大学 103 42 40.8% 41 39.8% 28 27.2%
帝京平成大学 239 162 67.8% 130 54.4% 107 44.8%
東京理科大学 117 101 86.3% 93 79.5% 82 70.1%
東邦大学 270 234 86.7% 220 81.5% 203 75.2%
日本大学 258 203 78.7% 176 68.2% 131 50.8%
北里大学 271 247 91.1% 240 88.6% 209 77.1%
慶應義塾大学 157 139 88.5% 135 86.0% 122 77.7%
昭和大学 199 154 77.4% 149 74.9% 145 72.9%
昭和薬科大学 263 222 84.4% 216 82.1% 184 70.0%
東京薬科大学 425 356 83.8% 329 77.4% 300 70.6%
星薬科大学 273 261 95.6% 230 84.2% 207 75.8%
武蔵野大学 148 127 85.8% 114 77.0% 103 69.6%
明治薬科大学 324 282 87.0% 272 84.0% 256 79.0%
帝京大学 334 238 71.3% 223 66.8% 205 61.4%
横浜薬科大学 408 280 68.6% 204 50.0% 166 40.7%
湘南医療大学
岐阜医療科学大学
新潟薬科大学 150 106 70.7% 94 62.7% 67 44.7%
北陸大学 116 75 64.7% 75 64.7% 53 45.7%
愛知学院大学 144 92 63.9% 86 59.7% 77 53.5%
金城学院大学 158 142 89.9% 131 82.9% 102 64.6%
名城大学 292 226 77.4% 219 75.0% 214 73.3%
鈴鹿医療科学大学 109 88 80.7% 78 71.6% 62 56.9%
京都薬科大学 372 300 80.6% 291 78.2% 270 72.6%
同志社女子大学 124 109 87.9% 103 83.1% 84 67.7%
立命館大学 128 101 78.9% 88 68.8% 88 68.8%
大阪大谷大学 152 94 61.8% 75 49.3% 47 30.9%
大阪医科薬科大学 306 265 86.6% 250 81.7% 222 72.5%
近畿大学 147 122 83.0% 111 75.5% 107 72.8%
摂南大学 249 174 69.9% 166 66.7% 139 55.8%
神戸学院大学 249 223 89.6% 150 60.2% 123 49.4%
神戸薬科大学 307 255 83.1% 240 78.2% 214 69.7%
兵庫医科大学 182 116 63.7% 92 50.5% 75 41.2%
姫路獨協大学 78 38 48.7% 27 34.6% 16 20.5%
武庫川女子大学 227 160 70.5% 145 63.9% 124 54.6%
就実大学 94 70 74.5% 62 66.0% 46 48.9%
広島国際大学 109 90 82.6% 72 66.1% 55 50.5%
福山大学 141 122 86.5% 118 83.7% 80 56.7%
安田女子大学 89 75 84.3% 75 84.3% 56 62.9%
徳島文理大学 98 66 67.3% 51 52.0% 38 38.8%
徳島文理大学(香川薬学部) 45 25 55.6% 24 53.3% 21 46.7%
松山大学 100 46 46.0% 44 44.0% 35 35.0%
第一薬科大学 173 120 69.4% 47 27.2% 44 25.4%
福岡大学 237 212 89.5% 188 79.3% 171 72.2%
長崎国際大学 119 80 67.2% 63 52.9% 59 49.6%
崇城大学 136 113 83.1% 101 74.3% 93 68.4%
九州保健福祉大学 94 44 46.8% 39 41.5% 35 37.2%
私立大学合計 10,714 8,062 75.2% 7,095 66.2% 6,131 57.2%

薬学部全(77)大学合計

  2017年度入学時 2021年度(5年次) 5年次(進級率) 卒業者数 卒業率 国家試験合格者数 合格率
大学合計 11,480 8,765 76.4% 7,770 67.7% 6,757 58.9%
 

まとめ

さて、1年生~6年生までの勉強内容やその対策を見てきました。薬学部入学後は、定期試験はもちろん、ほぼ毎年進級試験があり、それを突破しなければ進級できません。
それに加え、4年生の時に全大学共通のCBTとOSCEがあります。これを突破しなければ、5年生の病院・薬局実習には行くことができなくなります。病院・薬局の実務実習が終わり、晴れて6年生になれば、卒業論文や就職活動などのイベントが国家試験前に盛り沢山です。

 

薬学部の集大成である薬剤師国家試験は、6年生になれば皆が受けられるわけではなく、これまでの試験以上に難しい卒業試験を突破した者だけが受けることができます。一朝一夕では勉強する習慣は身に付きません。
6年を通して、薬剤師国家試験に向けて勉強する習慣をしっかりと身につけておきましょう。頑張って下さい。

 

 

 
著者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中