【薬たまコラムvol.9】薬剤師ってどこで働くの?どんな仕事があるの?

薬学部卒業後の進路

 

薬学部卒業後の進路について

 6年生の国家試験が終われば、いよいよ4年生や5年生の皆さんが就職活動を本格的に始める時期ですよね。

 そこで今回は、薬学部卒業後の進路についてご紹介し、それぞれの職業に必要な資質、やりがいなどをまとめていきましょう。

 

 

薬学部出身者のおおまかな進路

 薬学部の場合、4年制と6年制よって、多少、進路に違いはありますが、おおまかに進路を分けると、以下の5つになります。

 

①企業(製薬会社、化粧品会社などのメーカー)

②病院、薬局、ドラッグストア

③公務員

④大学教員

⑤その他

 

 この5つの進路について、それぞれのやりがい、必要な資質などをまとめてご紹介していきましょう。

 

①企業(製薬会社、化粧品会社などのメーカー)

 薬学部卒業後、一般企業に勤めたいという場合には、大きく2つの進路があります。 一つ目は、製薬会社での研究開発職、もう一つは、営業職(MR)です。 企業でも営業職と研究開発職とでは、必要な資質ややりがいは大きく異なります。

 研究開発職は、大学時代の実験をより実務的にこなすようなイメージです。コツコツ真面目に研究できる方が向いています。

 営業職は、勤務先が取り扱っている医薬品を病院に売り込む仕事です。薬学に関する知識を活かして仕事ができますが、MR認定試験(医薬情報担当者認定試験)を受験し、合格する必要があります。また、知識があると言っても、それをひけらかしすぎると、クライアントであるドクターや一般企業の担当者とはうまく付き合えません。知識も大切ですが、優れたコミュニケーション能力が必須です。

 ちなみに薬学部というと、製薬会社が一番に思い浮かびますが、それ以外にも医薬品卸会社、化粧品会社、食品会社の研究開発なども、薬学部で学んだ知識とスキルを活かすことができる業界ですので、就活する際には、これまでに学んだスキルを活かせるか、色々な業界を調べてみましょう。

 

 

②病院、薬局、ドラッグストア

 薬剤師養成コースでもある6年制薬学部卒の方が主に就職します。

 

・病院

 病院内の薬剤部で調剤業務をしたり、病棟を回り服薬指導をしたり、院内製剤の調整業務、治験業務などに携わります。 調剤薬局よりも患者さんと深く向き合う機会が多く、また、チーム医療の一員としてドクターやナースと連携する必要があるため、コミュニケーション能力も必要とされます。調剤だけではなく、病棟を回ってしっかりと服薬指導をしたいという方に向いています。

 

・薬局、ドラッグストア

 比較的就職がしやすく給与や福利厚生などの待遇もよい業界です。病院薬剤師よりも患者さんと接する機会は少ないですが、ドクターや病院薬剤師には言いづらい悩みを聞いてあげられますし、市販の医薬品であれば患者さんの症状に合わせてオススメの医薬品を紹介することもできるため、「地域のかかりつけ薬局」として近隣住民に感謝されることも多い職種です。 ただし、日用品を取り扱うドラッグストアの場合、商品の陳列などがあるため、体力が必要です。

 

 

③公務員

 薬学卒で公務員というと、主に公衆衛生に関する業務や、保健に関する業務に関する試験を受験するのがおすすめです。 国家公務員試験なら、難関ですが、科学捜査研究所や麻薬取締官の試験が薬学卒の方に向いています。 また、地方公務員であれば、都道府県庁の薬務課での仕事があります。薬務課では、製薬メーカーが医薬品や医療機器などを安全にかつ適正に管理しているかの立入検査、新規薬局の許可申請の仕事や、麻薬・覚せい剤取締法の推進PRなどの仕事をしています。何れにしても、薬学部卒業後、公務員試験に合格する必要があります。

 

 

④大学教員

 大学教員を目指す方や、もっと研究を続けてから研究職に就きたいという方は、大学院に進学し、修士課程、博士課程を修め、論文や研究発表に励み、実績を積んでいきます。こちらも企業の研究開発職と同様、コツコツと真面目に研究と向き合うタイプの方に向いています。初めは助手、そして講師、准教授、教授へとステップアップしていきますが、理系の場合は順調に昇進しても教授になるのは早くて40代後半、講師や准教授のまま退官される方もおられますので、地位や名誉よりも純粋に研究が好きな人に向きます。

 企業の研究開発職と同じく、大学時代よりももっと成果を求められますのでコツコツと努力できる方、そして学術論文も課せられますので、実験だけでなくデスクワークも嫌がらずにできる方に向いています。もちろん英語力も必須です。

 企業の研究開発職、大学教員、どちらの職業も、自分が携わった研究が認められるとやりがいを感じる、という点では共通していますね。

 

 

⑤その他

 最後に、薬学部卒、薬剤師という資格を活かして別の資格にチャレンジする場合についてご紹介しましょう。

 

・危険物取扱者

・臨床検査技師

・放射線取扱主任者

 

 こちらの3つは在学中(卒後も)にも資格取得が可能です。

 

 薬学部卒後に受験資格が得られる、または取得可能な代表的な資格は以下の2つです。

 

・食品衛生管理者

・毒劇物取扱主任者

 

 最後に、薬剤師資格を取得しておくと科目免除など考慮がある資格試験で代表的なものを以下にまとめます。

 

・ケアマネージャー

・薬事監視員(公務員)

・麻薬取締官(公務員)

・弁理士

 

 

≪まとめ≫

 

 いかがでしたか。

 薬学部というと、薬に関する仕事しかできないのではないかと思われがちですが、意外と選択肢が多いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。 特に弁理士などは、特許の申請に法律系の知識と化学系の知識の両方が必要なため、薬学部出身者は重宝されるそうですよ。 ぜひ、今のうちに自分の性格からどんな仕事が向いていて、やりがいを感じるか、色々調べてみてくださいね。