薬学部6年間の集大成!最後の難関「薬剤師国家試験」について
薬剤師になるためには、国家試験に合格することが必要です。6年生の薬学部を卒業するなら、薬剤師国家試験をクリアして、将来役立つ資格を取っておきましょう。そこで、薬剤師国家試験の概要、合格率のほか、対策のポイントなどを見ていきます。
薬剤師国家試験の概要
薬剤師国家試験は、2021年2月20日・21日に第106回が実施されます。北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、徳島県、福岡県の9都道府県での実施です。物理・化学などの知識から、薬学の実践的な内容まで幅広く出題されます。合格発表は3月24日と年度末付近の予定です。
主な出願資格の取得方法としては、6年制薬学部の卒業(または卒業見込み)が挙げられます。薬学部でも4年制なら卒業によって薬剤師国試の受験資格は得られない点に注意が必要です。
受験手数料は6,800円とそれほど高くありません。医師国試などと比べると半分以下となっています。ただ、費用が安めといっても年1回の試験なので、一発で合格することを目指してください。
薬剤師国家試験の合格率
薬剤師国家試験の合格率は、新卒者で84.78%(2020年2月実施の第105回)となっています。国公立薬学部は既卒を含めて85%程度、私立薬学部は70%で、やや差があると言えるでしょう。ただし、国公立と私立では受験者数にも大きな開きがあります。国公立薬学部からの受験生は1,000人未満でしたが、私立薬学部からは10,000人以上の受験が見られ、その差は10倍以上です。そのため、薬剤師を目指すにあたって、国試合格率が高い国立薬学部を目指すことが必ずしも好ましいとは限りません。
大学別の合格率を新卒者について見てみると、国公立薬学部では北海道大学(29名)、東京大学(9名)、金沢大学(35名)のほか、静岡県立大学で新卒合格率が100%となりました。特に静岡県立大では受験者が81名と多い点も特筆できます。
私立薬学部では、国際医療福祉大学が97.76%(131名合格)でトップでした。新しい大学ということもあり、国試対策に特に力が入っていることが考えられます。人数でみると、京都薬科大学が320名(91.69%)の合格者を出しています。薬剤師国家試験を受ける予定なら、合格率の高さに加えて、合格者数が多い薬学部だと周囲と切磋琢磨しながら国試対策を進めやすいです。
薬剤師国家試験対策のポイント
薬剤師国家試験には、必須問題が含まれています。必須問題では、70%以上の正答率が合格に不可欠です。5択式のため知識が多少不足していてもある程度の正解は可能ですが、基本的知識は確実に身につけて、70%を十分にクリアできるようにしましょう。必須問題のうち、正答率が30%未満の分野があると、足切りの形で不合格になってしまいます。基本事項はバランスよく定着させておくことが大切です。
また、必須問題以外もあわせて、65%の正答率が求められます。必須問題以外については、複数の選択肢が正解になる問題などもあり、十分な知識がないと正答に至りにくいです。そのため、まずは必須問題で最低限の70%にとどまらず、より多くの得点を稼いでおくようにしましょう。
禁忌問題の不正解が3問以上あると、それだけで不合格になる点にも要注意です。禁忌問題は倫理観や法令順守意識などを持っていれば問題なく正解できる内容が多いですが、焦っていると誤答のリスクが高まります。過去問を解くなどして出題形式に慣れ、慌てず解答できるようにしておいてください。
国試対策に不安がある場合は、薬剤師国試専門予備校などのサポートも検討してみましょう。国試合格から逆算して、薬学部でのカリキュラムのこなし方などのアドバイスも受けることができます。