薬学部卒業試験対策|合格への学習戦略と効率的な勉強法
薬学部の卒業試験対策
薬学部の卒業試験は、6年間の学びの集大成であり、薬剤師国家試験受験資格を得るための突破しなければならない重要な関門です。この試験は通常の定期試験とは異なり、より広範囲で国家試験本番さながらの内容が出題されるため、十分な準備が必要です。それでは、具体的な卒業試験対策の重要なポイントをご紹介いたします。
1.卒業試験の特徴と重要性
卒業試験は、薬学部が設置されている大学で実施される試験で、合格しなければ卒業できず、薬剤師国家試験の受験資格も得られません。
卒業試験の特徴
範囲の広さ | 通常の定期試験が半期分の範囲であるのに対し、卒業試験は国家試験とほぼ同じく、6年間の範囲をカバーします。 |
---|---|
難易度 | 一般的に、卒業試験は国家試験よりも難易度が高く設定されています。 |
重要性 | 卒業試験に合格できなければ、卒業延期や留年といった厳しい措置が取られ、その年度の薬剤師国家試験は受験できません。 |
2.効果的な学習戦略
1.早期からの計画的な準備
卒業試験対策は、できるだけ早い段階から始めることが重要です。余裕があれば、5年生の実習中に卒業試験の過去問題に取り組むことが良いのですが、遅くとも実習が終わる5年生の後期から始めて行きましょう。過去問題に目を通すと、科目ごとの勉強量(暗記量と理解量)を把握でき、重点的に注力する科目を洗い出すことができます。暗記量が多く理解も求められる科目(有機化学、薬理学など)は特に早めの準備が必要となります
2.過去問題の徹底的な活用
卒業試験の出題範囲については学校によって異なるのですが、一般的に直近の薬剤師国家試験3~5年分と前年の卒業試験が出題されている傾向にあります。できるだけ早く先輩などから過去問題を入手し、実際の出題傾向や難易度を肌で感じてください。まずは、薬剤師国家試験の過去問題と卒業試験の過去問題の両方に取り組み、暗記するくらい何度も解きましょう。
3.苦手分野の克服
薬剤師国家試験と卒業試験の過去問題を解いていく過程で苦手な分野を洗い出し、徹底的に克服することが重要です。特に物理・化学・生物は様々な科目の土台となる基礎科目であり、必須で足切りになることもあるため、早期に対策を立てておくべきです。
4.効率的な学習方法の活用
限られた時間で広範囲の内容を学習するには、効率的な方法が必須です。得意分野は時間をかけず広く浅く、何度も繰り返し見直し、暗記系の内容は「ゴロ合わせ」を活用して確実に頭に定着させてください。過去問題を解く際に、重要項目やよく出題される内容を付箋や暗記カード、ルーズリーフなどにまとめて持ち運べるようにし、移動時間などを利用し確認するようにしてください。
5.復習の効率化
卒業試験の過去問題を解いた後の復習が一番重要です。解くだけで満足し、解きっぱなしにする学生がとても多いです。問題を解く際には、正答肢だけを覚えるのではなく、誤答肢を訂正し、正しい知識を覚えるようにしましょう。解き進めている際に分からなかった問題は参考書や教科書などにインデックスシールをつける、問題にテキストのページを書き込むなど、どこを見返せば良いのかすぐに探せるように工夫すると見直しがしやすいです。問題に◎〇△×などをつけ、問題を仕分けし、復習する際に役立てましょう。
6.チーム学習の活用
一人で全ての科目に対応するのは大変です。チームを組んで科目を分担し、効率的に学習を進めましょう。卒業試験の解答解説は学校によっては配布されているのですが、解答解説がない場合はチームで協力することにより短期間で解答解説を揃えることができます。一人で勉強するのはモチベーションも下がるし、質問があっても解決できず効率が悪いので、できるだけ同級生やゼミ仲間と一緒に勉強するようにしましょう。
3.時間管理と学習環境の整備
1.時間の有効活用
卒業試験対策と並行して卒論研究や他の学業もこなすことになるので、効率的な時間管理が不可欠です。そのため、国家試験対策講座や研究活動との両立を考慮したスケジュールを立て、移動時間や空き時間を活用して暗記や復習を行ってください。
2.学習環境の整備
集中して学習できる環境を整えることも重要です。静かで快適な学習スペースを確保し、必要な参考書や資料をすぐに取り出せるよう整理しましょう。集中できるようにスマホなどはロッカーに入れ、目に触れないようにしておくのも良いでしょう。適度な休憩は取り入れ、長時間の学習による疲労を回復できるようにすると良いです。
3.メンタル面のケア
卒業試験に向けての勉強は、精神的にも大きな負担となります。以下の点に注意してメンタル面のケアを行いましょう。
適度な休息 | 集中力を維持するために、適切な休憩を取ることが重要です。 |
---|---|
ストレス解消 | 運動や趣味の時間を設けるなど、ストレス解消の機会を作りましょう。 |
仲間との交流 | 同じ目標を持つ仲間と情報交換や励まし合いをすることで、モチベーションを維持できます。 |
健康管理 | 十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけ、体調管理に気をつけましょう。 |
4.試験当日の心構え
試験当日は緊張や不安が高まりますが、定期テストと同じような気持ちで挑みましょう。
試験直前の学習 | 難易度の高い問題を解くのは避けましょう。問題が解けないと余計に緊張や不安を増幅させてしまいます。慣れ親しんだ範囲を軽く復習する程度にとどめておきましょう。 |
---|---|
周囲の影響を遮断 | 他の受験生の会話や態度に惑わされないよう、テスト前の会話は避けるようにするのも大切です。一分一秒も惜しい状況なので、会話する時間を勉強する時間に当てましょう。 |
友人との答え合わせを避ける | 試験終了後すぐに友人と答え合わせをすることは、不安を増幅させる可能性があるので避けましょう。その解答自体が間違っているかもしれないし、変に不安になることで次の試験に支障が出てしまっては元も子もありません。 |
4.最後に
卒業試験を突破するのは確かに難しいですが計画的かつ効率的な学習を行えば、十分に乗り越えられます。
この試験は単なる障害物ではなく、薬剤師として必要な知識と能力を確認する重要な機会でもあります。さらに卒業試験に向けての準備は、同時に国家試験対策にもなります。
卒業試験に合格できる実力があれば国家試験にも余裕を持って合格できる可能性が高くなります。
最後に卒業試験は個人戦ではなく、チーム戦だという意識を持つことが重要です。
合格点さえとれば全員卒業試験を突破できるため仲間と協力し互いに支え合いながらこの大きな挑戦に立ち向かいましょう。
困難を乗り越えた先には薬剤師としての明るい未来が待っているはずです。もし不幸にも卒業試験に合格できず留年となってしまった場合でも決して諦めないことが大切です。
多くの卒業留年生が次の薬剤師国家試験で合格を果たしています。失敗を糧により効果的な学習方法を見出し次の挑戦に向けて準備を進めることが重要になってきます。
薬学部での6年間の学びは単に試験に合格するためだけのものではありません。患者さんの健康と生命を守る責任ある薬剤師となるための重要な準備期間なのです。
卒業試験対策を通じて身につけた知識と能力は将来の薬剤師としての活躍に必ず活かされることを忘れずに自信を持って試験に臨んでください。
努力は報われます。
CES薬剤師国試予備校 講師
アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中