第109回薬剤師国家試験概説

薬剤師国家試験概説

109回薬剤師国家試験の日程

令和6年2月17日(土曜日)及び同月18日(日曜日)

 

109回薬剤師国家試験の試験会場

北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、徳島県及び福岡県

試験地

会場名

住所

北海道

北海道科学大学

〒006-8585 札幌市手稲区前田7条15-4-1

宮城県

仙台卸商センターサンフェスタ・卸町 会館

〒984-0015 仙台市若林区卸町2-15-2

東京都

大正大学(巣鴨キャンパス)

〒170-8470 豊島区西巣鴨3-20-1

武蔵野大学(有明キャンパス)

〒135-8181 江東区有明3-3-3

帝京平成大学(中野キャンパス)

〒164-8530 中野区中野4-21-2

東京工科大学(蒲田キャンパス)

〒144-8538 大田区西蒲田5-23-22

石川県

北陸大学(太陽が丘キャンパス)

〒920-1180 金沢市太陽が丘1-1

愛知県

名城大学(天白キャンパス)

〒468-8502 名古屋市天白区塩釜口1-501

大阪府

大和大学(吹田キャンパス)

〒564-0082 吹田市片山町2-5-1

大阪商業大学

〒577-8505 東大阪市御厨栄町4-1-10

広島県

安田女子大学

〒731-0153 広島市安佐南区安東6-13-1

徳島県

徳島文理大学(徳島キャンパス)

〒770-8514 徳島市山城町西浜傍示180

福岡県

第一薬科大学

〒815-8511 福岡市南区玉川町22-1

 

109回薬剤師国家試験の科目・配点・足切り

※表は横にスクロールできます。

科目

必須問題

一般問題

出題数計

出題数

合格必要点数

薬学理論問題

薬学実践問題

物理・化学・生物

15問

出題数の

30%以上

30問

15問

(複合問題)

60問

衛生

10問

20問

10問

(複合問題)

40問

薬理

15問

15問

10問

(複合問題)

40問

薬剤

15問

15問

10問

(複合問題)

40問

病態・薬物治療

15問

15問

10問

(複合問題)

40問

法規・制度・倫理

10問

10問

10問

(複合問題)

30問

実務

10問

20問+65問
(複合問題)

95問

出題数計

90問

出題数計の

70%以上

105問

150問

345問

「新薬剤師国家試験について」の一部改正についてより作成

 

109回薬剤師国家試験の時間割

両日とも集合時刻は8時50分(時間厳守)

※【実務】は、実務以外の科目と関連させた複合問題として出題されるもの

時間

問題区分及び科目

第 1 日

9:30~11:00

必須問題試験

(物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、

法規・制度・倫理、実務)

12:30~15:00

一般問題試験(薬学理論問題)

(物理・化学・生物、衛生、法規・制度・倫理)

15:50~17:45

一般問題試験(薬学理論問題)

(薬理、薬剤、病態・薬物治療)

第 2 日

9:30~11:35

一般問題試験(薬学実践問題)

(物理・化学・生物、衛生)【実務】※

13:00~14:40

一般問題試験(薬学実践問題)

(薬理、薬剤)【実務】※

15:30~18:00

一般問題試験(薬学実践問題)

(病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務)【実務】※

 

109回薬剤師国家試験の合格基準

以下のすべてを満たすことを合格基準とすること。なお、禁忌肢の選択状況を加味する。

  • 問題の難易を補正して得た総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上であること。
  • 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること。

 

109回薬剤師国家試験のボーダー

以下のすべての基準を満たした者を合格とする。(注)配点は1問2点(688点満点)

  • 全問題の得点が420点以上
  • 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上
  • 禁忌肢問題選択数は2問以下

 

過去10年の薬剤師国家試験の推移(合格者数・合格率)

※表は横にスクロールできます。

 

100回

101回

102回

103回

104回

105回

106回

107回

108回

109回

合格者数(名)

9,044

11,488

9,479

9,584

10,194

9,958

9,634

9,607

9,602

9,296

合格率(%)

63.17

76.85

71.58

70.58

70.91

69.58

68.66

68.02

69.00

68.43

新卒合格率(%)

72.65

86.24

85.06

84.87

85.50

84.78

85.55

85.24

84.86

84.36

既卒合格率(%)

53.12

67.92

50.83

47.00

43.07

42.67

41.29

40.75

44.05

42.42

109回の薬剤師国家試験の結果より作成

 

新卒と既卒の合格率の差

新卒と既卒の合格率には大きな差があります。新卒の合格率が80%以上であるのに対して、既卒の合格率は約半分の40%程度と大きく低下しています。既卒の合格率が低い理由は、モチベーションが保てず勉強に集中できなかったり、仕事との両立が難しかったりと様々です。

既卒の受験生の中には、六年制になって導入された実務実習を受けていない、または受けたとしても時間が経ち忘れてしまっている方も多いでしょう。そのため、実務実習内容を出題する近年の薬剤師国家試験には対応できない可能性が高いです。

 

109回薬剤師国家試験の難易度

【総合】

第109回薬剤師国家試験の全体としての難易度は、108回と比較すると【やや難】と考えられるが、第108回を【平易】と位置付けると、通常通りの難易度に戻ったと言える。

【必須問題】

化学、衛生、病態・薬物治療では図やグラフの問題が出題され、難易度は上昇したと考えられる。薬理や薬剤では医薬品の構造式から解答を選ぶ問題が出題された。法規や実務は基本事項に関する出題が多く見られた。必須問題全体としては得点しやすい問題が多く、108回と比較すると【中等】であったと考えられる。

【理論問題】

理論問題全体としての難易度は、【やや難】であった。108回と比べると連問が増加していた。理論問題全体として、科目間の繋がりを考えさせる問題が継続して出題されている印象である。

【実践問題】

実践問題は、科目による差はあるが、全体としては他科目の繋がりが意識しなければならず、108回と比較すると【やや難】と感じる難易度であった。108 回では出題されなかった実践問題での連問が109回では乳がんの問題で出題された。例年よりリード文が長く、読み取るのに時間がかかり、必要な情報を読み取る力が必要であった。

 

【国家試験 総評】第109回薬剤師国家試験解説はこちら

【国家試験 総評】第109回薬剤師国家試験解説

 

大学ごとの分析

薬学部進学の際に参考にする薬剤師国家試験の合格率。厚生労働省が発表している薬剤師国家試験の合格率には「裏」があり、その合格率を鵜呑みにしてしまうと、進路選択を後悔するかもしれません。実は、厚生労働省が発表する合格率以外に「真の合格率」が存在します。

厚生労働省の合格率は、

厚生労働省の合格率

で計算します。

 

一方、真の合格率は、

真の合格率

で計算します。

 

「出願者数」とは薬剤師国家試験を受験する資格がある者で、出願期日までに出願した人数のことをいい、「受験者数」とは実際に薬剤師国家試験を受験した人数のことをいいます。薬剤師国家試験では、この「出願者数」と「受験者数」の間には大きな差があります。

「受験者数」が「出願者数」よりも少ない理由は、まず一つ目として「体調不良等で受験できなかった」ことが挙げられます。二つ目の理由は、薬学部などの医療系大学でよく見られる「卒業試験に合格できず、受験資格が無くなった」ことが挙げられます。

 

薬学部では卒業試験が存在し、薬剤師国家試験に合格する可能性のある学生だけをふるいにかけることで合格率を上げています。薬剤師国家試験を受験できなかった学生は、限りなく不合格に近いと言えます。

つまり、真の合格率を計算する際には、出願したが受験できなかった数を不合格者としてカウントする必要があります。それを踏まえて、厚生労働省の合格率と真の合格率を確認していきましょう。

 

厚生労働省の109回薬剤師国家試験の合格者数(上位5位ランキング)

大学名

出願者数

受験者数

合格者数

合格率(%)

京都薬科大学

464

448

380

84.82

東京薬科大学

534

479

379

79.12

東北医科薬科大学

445

400

283

70.75

明治薬科大学

363

326

268

82.21

北里大学

317

310

263

84.84

109回の薬剤師国家試験の結果より作成

 

厚生労働省の109回薬剤師国家試験の合格率(上位5位ランキング)

大学名

出願者数

受験者数

合格者数

合格率(%)

名城大学

275

252

241

95.63

山陽小野田市立

山口東京理科大学

102

101

95

94.06

金沢大学

46

45

42

93.33

広島大学

52

52

47

90.38

北海道大学

32

31

28

90.32

109回の薬剤師国家試験の結果より作成

 

厚生労働省の109回薬剤師国家試験の私立大学合格率(上位5位ランキング)

大学名

出願者数

受験者数

合格者数

合格率(%)

名城大学

275

252

241

95.63

国際医療福祉大学

174

173

149

86.13

武蔵野大学

188

168

144

85.71

近畿大学

186

174

148

85.06

北里大学

317

310

263

84.84

109回の薬剤師国家試験の結果より作成

 

109回薬剤師国家試験の真の合格率(上位5位ランキング)

大学名

出願者数

受験者数

合格者数

合格率(%)

山陽小野田市立

山口東京理科大学

102

101

95

93.14

金沢大学

46

45

42

91.30

広島大学

52

52

47

90.38

名古屋市立大学

65

65

57

87.69

名城大学

275

252

241

87.64

109回の薬剤師国家試験の結果より作成

 

109回薬剤師国家試験の真の私立大学合格率(上位5位ランキング)

大学名

出願者数

受験者数

合格者数

合格率(%)

名城大学

275

252

241

87.64

国際医療福祉大学

174

173

149

85.63

北里大学

317

310

263

82.97

昭和大学

191

187

158

82.72

京都薬科大学

464

448

380

81.90

109回の薬剤師国家試験の結果より作成

 

第109回 薬剤師国家試験合格率 大学別一覧表はこちら

 

まとめ

過去10年の厚生労働省が発表している薬剤師国家試験の合格率は平均すると約70%になります。一方で、真の合格率の平均は64%であり、厚生労働省の合格率と真の合格率では大きな差があることが分かりました。

薬学部進学の際には、「真の合格率」にも注目してみて下さい。とは言っても、どの大学でも、しっかりと勉強していれば薬剤師国家試験には合格できるので、しっかりと勉強に専念しましょう。

 

 

 
著者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中