薬学共用試験「CBT」の概要と対策法

薬学共用試験「CBT」の概要と対策法

薬学部入学後は、6年間で様々な関門を突破しなければなりません。薬剤師国家試験が薬学部最大の関門ですが、その前に必ず突破しなければならない試験があります。

それは4年生の12月~1月に実施される「薬学共用試験」です。この薬学共用試験には、CBT(Computer-Based Testing)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験)があり、5年次の実務実習に進むにあたっての適正が備わっているかを確認するために実施されます。

今回は「CBT」を取り上げ、その概要や対策について詳しく解説していきます。

 

薬学共用試験「CBT」の概要

薬学部では、5年次に実務実習が行われます。

この実習は、実際の医療現場(調剤薬局・病院)に出て「薬剤師として求められる基本的な資質」の修得を目指し、実践的な臨床対応能力を身に付けることを目的として行われます。

そのため、薬学的知識や技能、態度が一定の基準に達している必要があります。その確認のために行われるのが薬学共用試験です。「CBT」は薬学共用試験の1つであり、基本的な薬学知識を問うコンピューター試験です。出題形式は多肢選択式であり、受験生ごとに異なります。

ただし、難易度が同等になるように調整され出題されます。各ゾーンの制限時間は2時間で、1問1分以内で解答できるよう、形式の揃った短い内容の問題になっています。

 

薬学共用試験「CBT」の出題範囲や合格基準

CBTの出題範囲は下記の3つのゾーンに分かれており、合計310題あります。

現在の合格基準は、310題中186題(60%)以上正解する必要があり、ゾーンごとの足切り点はありません。

 

・物理系薬学(30題):分析化学、物理化学など
・化学系薬学(35題):有機化学、生薬など
・生物系薬学(35題):機能形態学、免疫学、生化学、微生物学など

・医療薬学[薬理・薬物治療系](60題):薬理学、薬物治療学、病態生理学など
・医療薬学[情報系](15題):医薬品情報、疫学など
・医療薬学[薬剤系](35題):薬物動態学、製剤学など

・基本事項(10題):倫理など
・薬学と社会(20題):薬事関連法規、薬剤師の役割など
・衛生薬学(40題)
・薬学臨床(30題):重要な医薬品の用量・相互作用・配合変化など

 

CBT対策の年間スケジュールはこちら

 

薬学共用試験「CBT」対策

対策時期

CBTの合格率は96%前後と高いため、油断して試験ギリギリまで対策をしない薬学生が大勢います。しかし、CBTの出題範囲は広く、間に合わないと感じる薬学生も多いため、余裕を持って効率的に対策していく必要があります。

では、いつから始めれば、確実に合格することができるのでしょうか?それは、早ければ早いほど良いです。具体的に言うと、4年次の春から始めましょう。4月から対策を始めると、CBT本番(12月~1月)まで十分な時間があるため、しっかりと内容を理解した上で暗記し、応用にも対応できるようになります。

実際に私自身も1ヵ月前からの付け焼刃で合格したのですが、知識が身に付いておらず実務実習の時に困ってしまうことも多々ありました。そのため、試験に合格するためだけではなく、実務実習で苦労しないためにも、できるだけ早い段階から日常的に勉強を続け、知識を身につけておくことが大切です。

対策のポイントと勉強法

ここからはCBT対策法についてご紹介します。前述したとおり、CBTは3つのゾーンに分かれており、ゾーン1(物理、化学、生物系)、ゾーン2(薬理、薬剤、情報系)、ゾーン3(健康と環境、薬学と社会、実務など)から合計310問出題されます。

ゾーン1は、薬学の基礎科目になります。1年次~2年次に学ぶ内容がほとんどであり、CBTを受験する4年次には内容を忘れている受験生が多く、平均点が他のゾーンと比較して低い傾向にあります。逆を言えば、ゾーン1をしっかりと対策しておくことで、高得点を狙えるということです。

 

次に、3つのゾーンの中で重点的に対策をすべきなのが、ゾーン2です。ゾーン2は実務実習にも役立つ内容で構成されています。さらに、ゾーン2は3年次~4年次で学ぶ内容になっているので、ゾーン1と比較すると覚えなおす量は少なくなるため、点数の底上げをしてくれます。3年次~4年次の授業をしっかりと理解し、忘れないようにしておきましょう。

 

ゾーン3に関しては、衛生や法規の内容が含まれているので、そこさえしっかりと対策をすれば、その他は常識的な問題が多く、比較的高得点が取りやすいゾーンになります。その上、実務事前学習で実践しながら学べるため、夏以降に勉強を開始するのも良いでしょう。

 

勉強法についてですが、とてもシンプルです。

とにかく「参考書・教科書を読む→問題を解く」を繰り返しましょう。問題の難易度は高くない上に類似問題がたくさん出題されるので、分からない問題を確実になくしていくのが高得点のポイントです。模試や問題集をとにかく何度も解いて傾向をつかみましょう。大学のCBT対策プリントや教科書などでしっかりと復習するのも良いし、予備校の参考書や問題集で対策するのも良いです。

薬学ゼミナールの参考書「コアカリ重点ポイント集」や問題集「コアカリ・マスター」をセットで活用することで、効果的なCBT対策が行えるので、おススメです。

 

模試や体験受験の利用

模試や体験受験の利用

CBTには、7月~9月に体験受験が実施されています。CBT本試験を受ける前には、必ず体験受験を利用するようにしましょう。

体験受験は、現時点での知識の定着を確認することはもちろん、本試験と全く同じ環境で試験を行うため、本試験のシミュレーションができます。体験受験は、本試験と同じコンピューターとソフトウェアを使い、同じ問題数で実施されるためパソコンの操作にも触れることができます。

 

体験受験で出題される問題の多くは、CBT本試験でも出題されることが多いので、現時点での自分の学力を確認することができます。試験の雰囲気や感覚をつかむためにもぜひ利用してみましょう。

大手予備校の模試も何種類かあるので、受けて沢山の問題に触れましょう。模試の受けっぱなしは意味がないので、しっかりと復習することをお忘れなく。

 

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    4月~5月
    ゾーン1の範囲
    参考書や教科書でインプットし、問題集でアウトプットしましょう。
    ゾーン1の範囲
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    6月~8月
    ゾーン2の範囲
    7月~9月にある体験受験を利用して知識が定着できているか確認しましょう。50%の得点率を目指して参考書や教科書でインプットし、模試の復習や問題集でアウトプットしておくのが良いです。
    ゾーン2の範囲
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    9月~10月
    ゾーン3の範囲
    参考書や教科書でインプットし、模試の復習や問題集でアウトプットしましょう。
    ゾーン3の範囲
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    11月~CBT前日
    復習に徹する
    今まで勉強した知識をいかに忘れないかが重要になります。忘れている知識は参考書や教科書で確認・定着させ、模試の復習や問題集の復習を徹底し、とにかく問題を解いてください。

 

まとめ

「CBT」は基礎的な問題が多い、合格率の高い試験です。対策を怠ると不合格になることも大いにあります。「CBT」は実務実習に進むための大切な試験です。自信がない受験生は早めに対策を開始し、過去の復習を進めていきましょう。

「CBT」対策はいかに多くの問題を解いたかが重要になります。何をしたらいいか迷ったら、とにかく問題を解きましょう。

 

  • ゾーン1は早い段階からコツコツと対策
  • ゾーン2は3年次~4年次の授業をしっかりと理解・定着することが重要
  • ゾーン3は実務事前学習で対策できるので、意欲的に授業に参加
  • 「参考書や教科書でインプット→問題集・模試でアウトプット」をとにかく繰り返す

 

今回ご紹介した勉強法はあくまで数多ある勉強法の中の一例ですので、参考にしてもらえると幸いです。

では、勉強頑張ってください。

 

 

 
著者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中