国家試験対策の進め方と1年間のスケジュール

国家試験対策の進め方と 1年間のスケジュール

薬剤師国家試験の受験生は、新年度の4月から勉強を開始する方がほとんどだと思います。

国家試験対策開始時期は、欲を言えば、4・5年生からコツコツとしっかり対策するのが理想ですが、国家試験に対する現実味がないため、勉強に身が入らないですよね?

では、新年度の4月から国家試験対策を開始するとしたら、勉強期間は約10ヶ月しかありません。国家試験は9科目あるため、単純に考えると1ヶ月で1科目を勉強しないといけない計算になります。浪人生は10ヶ月を国家試験のみに捧げることができるのですが、現役生は卒業論文、卒業試験、就職活動と忙しいため、実際は半年もありません。

こう考えると時間が足りないのがよく分かります。しかしながら、短期間でも合格を勝ち取る方はたくさんいます。私もその中の一人でした。そんな私が実践した勉強法やスケジュールを予備校講師の視点から紹介していきます。

 

薬剤師国家試験の傾向からみた対策

薬剤師国家試験の傾向からみた対策

過去の薬剤師国家試験は必ず解く

薬剤師国家試験は、出題科目が9科目あり、必須・理論・実践の計345問の試験です。国家試験の問題に関しては、厚生労働省が過去に出題された試験問題(既出問題)の取扱いについて「類似の過去問を20%程度は出題する」※と言及しています。

そのため、たくさん問題を解くことで、国家試験に出題される可能性のある問題に触れることが出来ます。過去問を解くだけで、合格に一歩近づけるというわけです。出題傾向の変化があるので、過去5~6年分の国家試験を最低2回は解くようにしましょう。

過去問を解くことで薬剤師国家試験の雰囲気や出題傾向を知ることができ、自分の弱点を把握するのにも役立つので、絶対に必要になります。

 

※「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000112016.html

正答率の高い問題を必ず解けるようにする

大手予備校の「薬学ゼミナール」の総評論によると、正答率70%以上の問題数は、200問前後とのことでした。さらに正答率60%以上の問題数となると、230問前後ありました。

何が言いたいかというと、幅広い知識が必要とされる薬剤師国家試験ですが、難しい問題が解けなくても、正答率60%以上の問題さえ全て正答できれば合格できる試験なのです。

正答率が高い問題は、ほとんどの受験生が解ける、つまり知っておかなければならない知識ということなので、後回しせずに優先的に勉強していくことをオススメします。

必須問題から取り組む

 必須問題は比較的得点を取りやすく、暗記すべき基礎知識が沢山ちりばめられています。必須問題をしっかり理解・暗記すると、全体像が見えてきます。必須問題では足切りがあり、これで不合格になった方もたくさんいます。

必須問題はできる限り満点を狙えるように対策をしてください。5~6年分の既出の必須問題だけで言えば、問題数は5~6年分×90問=450~540問しかありません。多いと思われるかもしれませんが、理論問題や実践問題はもっと数も多いし、難易度も高くなります。

最初から理論問題や実践問題から取り組むと自信を無くし、勉強自体やる気が起きない可能性があります。理論問題や実践問題にスムーズに移行するためには、まずは必須問題から取り組みましょう。

出題率の多い領域を優先的に勉強

薬剤師国家試験の出題傾向は、どの分野からも均等に出題されるわけではなく、病態・薬物治療・薬理・薬剤など現場に出たときに重要な分野に大きなウェイトが置かれています。

つまりこの4分野を優先的に勉強する必要があります。これらの分野は連問が多いので、関連知識はすぐに出せるように整理しておきましょう。

まず最初にどの科目を勉強するのか迷った場合は、これらの分野から取り掛かってみてください。

 

現役生・浪人生共通の勉強法

現役生・浪人生共通の勉強法

参考書を最初から読まない

薬剤師国家試験対策で絶対にしてはいけないこと、それは「予備校の参考書を最初から読む」です。これは、英語の辞書を最初から読んで単語テストに挑むのと同じくらい無駄なことです。

予備校の参考書は、過去問を解く上で、それに関連する知識を理解するための辞書のように使うのが良いでしょう。

○×だけで満足しない

問題の丸付けをする際に、〇×だけを確認して満足したり、答えの番号だけを覚えていたりする人がたまにいます。これは勉強とは言わず作業であり、国家試験で全く点が取れない人の特徴の一つでもあります。

問題の丸付けをするときは、答えが合っているかどうかを確認するだけではなく、なぜこの選択肢が間違っているのかを明確にしましょう。

間違っている選択肢は、間違い箇所を必ず訂正し、正しい知識をしっかりと定着させることが重要です。問題を解き進めていくと、ひっかけ問題が分かってくる時期が来ます。この時期が来れば、合格したも同然です。この域に達するまで、問題をやり込みましょう。

復習を徹底する

国家試験の過去問はもちろん、模試の復習は徹底しましょう。一度解いた問題は、次は間違わないように短いスパンでこまめに復習して下さい。苦手なところを付箋でまとめたり、ゴロを作ったりして復習するのも良いでしょう。

スキマ時間を最大限活用

机に向かうだけが勉強時間ではありません。ちょっとのスキマ時間も立派な勉強時間になります。

トイレ、お風呂、ごはんの時はもちろん、移動中や空いた時間があれば、重要事項や忘れやすい知識などを反復し頭に定着させましょう。

 

現役生の年間スケジュール

では、これからは現役生の具体的な年間スケジュールに関して話していきたいと思います。冒頭に述べた通り、現役生は4月から国家試験対策を開始した場合、それに割ける時間は半年もありません。そのため、効率よく勉強する必要があります。

 

【4月~6月】必須問題の5~6年分を解く

必須問題から対策することで、足切り対策にもなるし、自信にもつながります。知識を定着させ、理論問題・実践問題にスムーズに進めるようにしておきましょう。

 

【7月~9月】理論問題の5~6年分を解く

必須問題で定着させた知識をさらに広げて行きましょう。理論問題を解くことで詳しい知識を追加して、9月にある統一模試①に向けて幅広い知識を付けていきたい時期です。190点前後を目指して頑張りましょう。

 

【10月~12月】

実践問題の5~6年分 実践問題は、理論問題と同時進行で解いても良いと思います。12月までには最低1周はしておきたいものです。

 

【1月~国家試験前日】

復習に徹する 今まで勉強した知識をいかに忘れないかが重要になります。とにかく高速で問題を解いて、復習を徹底しましょう。1月にある統一模試③では215点越えを目指しましょう。

 

浪人生の年間スケジュール

では次に浪人生の年間スケジュールについて話していきます。浪人生に関しては前年にどれだけ勉強したかにもよるのですが、現役生と比べると4月からしっかりとした国家試験対策ができます。ほとんどの人が国家試験の過去問題は既に解いていると思うので、忘れている知識を最初の時期に取り戻しておきましょう。特に多浪生は現役生や一浪生に比べると、既に参考書や過去問題を何周もしていると思います。しかしながら、ご自身の記憶を過信せず、新しい気持ちでも再度勉強に取り組むようにしてください。

 

【4月~5月】必須問題の5~6年分を解く

現役生と同じで、まずは必須問題に取りかかりましょう。浪人生なので、2ヶ月ほどで必須問題を解き、知識を定着させます。

 

【6月~8月】理論問題の5~6年分を解く

9月にある統一模試で知識が定着できているか確認しましょう。200点を目指して理論問題をたくさん解いて問題に慣れておいてください。

 

【9月~11月】実践問題の5~6年分を解く

実践問題は、理論問題と同時進行で解いても良いと思います。11月までには最低1周はしておきたいものです。

 

【12月~国家試験前日】復習に徹する

今まで勉強した知識をいかに忘れないかが重要になります。とにかく高速で問題を解いて、復習を徹底しましょう。1月の模試で240点前後を取り、自信を持って国家試験に挑める状態にしておくのがオススメです。

 

まとめ

  • 国家試験の過去問は5~6年間分を最低2回
  • 必須問題をまず攻略
  • 出題率が高い問題や正答率の高い問題を優先的に解く
  • 参考書は最初から読まず、辞書的に使用

今回ご紹介した勉強法はあくまで数多ある勉強法の中の一例ですので、参考にしてもらえると幸いです。では、勉強頑張ってください。

 

 

 
著者プロフィール

CES薬剤師国試予備校 講師

アメリカの大学・大学院を卒業後、再受験にて薬学部に入学。再試・留年はなく、ストレートで国家試験にも合格。 卒業後は薬局薬剤師を経て、現在はCES薬剤師国家試験予備校の講師。 薬剤師国家試験のゴロサイト『ゴロナビ〜薬剤師国家試験に勝つ〜』を運営中