薬学部で留年したらどうする?進級の難しさと対策方法

歯学部での進級の難しさ・留年率は?

薬学部での進級の難しさ・留年率は?

薬学部では、薬剤師国家試験の対策や実習をこなしながら単位を取得し、進級・卒業を目指すため、高度な学習と多忙なスケジュールが求められます。そのため、進級試験に不合格となり、留年してしまう学生も少なくありません。では、薬学部での進級はどの程度難しいのでしょうか。

 

留年率と進級率

文部科学省が公表している「薬学部における修学状況等」によれば、薬学部の5年次進級率(留年生を除く)は、2017年度入学生の場合、国立大学で94.5%と非常に高い水準にあります。

一方、私立薬学部では75.2%となっており、2人に1人がストレートで5年次に進級できていないことが分かります。留年や休学の理由は様々ですが、学習の追い付かない学生も少なくないことが伺えます。

 

また、5年次まで進級できたとしても、卒業試験に不合格となって留年するケースもあり、大学によっても留年率にはばらつきがあります。そのため、留年は多くの薬学部生にとって身近な出来事といえます。

ギリギリの成績で進級・卒業したとしても、薬剤師国家試験に不合格になる事例も少なくありません。まずは、ストレートでの卒業と薬剤師国家試験合格を目指して、日々の授業をしっかり理解することが大切です。

ただし、留年してしまった場合でも悲観せず、より良い薬剤師になるために必要な1年と考えて学習を続けていきましょう。

薬学部で留年したらどうすべき?

学習計画

留年が決まった薬学部生は、できるだけ早く留年の原因を探ることが重要です。

特定の科目の勉強が不足していたのか、前の学年までに学んだ内容を忘れているのかなど、留年の原因によって取るべき対策は異なります。原因が自分ではよく分からない場合は、薬剤師国家試験予備校などに行ってアドバイスをもらうのも有意義です。

 

予備校では国家試験対策だけでなく、進級試験やリメディアル教育も行っている場合があります。2回目の留年を防ぐために、進級試験対策コースを利用するのも良いでしょう。

何となくもう1年を過ごして単位を取れたらいいな、という曖昧な考えでは、留年を繰り返したり、次の学年に進級してもまた苦労したりといった負のループに陥る可能性があります。留年を機に学習の方法をしっかり見直すことが大切です。

 

復習と学習計画

理解不足が多かった場合は、早期に復習を行うことが重要です。高校までの学習内容が理解できていない場合は、リメディアル教育を受けるなどして、学習を遡ることで留年の根本的な原因を解消しましょう。

薬学部の専門科目は相互に関連しているため、前の学年の授業内容が理解できていないと、次の授業を理解するのが難しくなります。授業を理解できないままでいると、知識が身につきにくく、学習のモチベーションも低下してしまいます。復習の方法を明確にし、効率的に対策を進めることが重要です。

 

1年間で学ぶべき内容が多く、一部の科目に手が回らずに留年してしまった場合は、丁寧に学習計画を立てることで学習効率を高めましょう。学習計画を立てるためには、自分のレベルをしっかり把握し、薬学部のカリキュラム全体を把握しておく必要があります。

体系だった学習ができていないと感じる場合は、予備校で学習計画の立て方や学習管理のサポートを受けるのも一つの方法です。自分に合った個別の学習カリキュラムを立てることで、進級までの道筋が明確になり、学習モチベーションを高めることができます。

留年時に取得した単位を取り直す必要がある場合のメリット・デメリット

薬学部で留年すると、留年した学年で取得していた単位を取り直す必要がある大学もあります。

このシステムの場合、落とした単位だけを履修する場合と比べて、2回目の留年を避けるために取得すべき単位数が多くなる点に注意が必要です。同じ学習内容だからといって復習を怠ると、今度は1回目とは異なる単位を落として再度留年してしまう可能性もあります。

メリット

薬学部の学習内容を確実に理解しながら進級できる点が挙げられます。各学年で身につけるべき内容をきっちり理解した状態で次の学年に進むため、翌年以降の留年リスクを抑えることができます。また、薬学部実習や国家試験対策の際に必要な知識が抜け落ちていることを防ぎやすくなります。

デメリット

一方で、取得すべき単位数が多くなるため、学習負担が増加します。また、全ての単位を取り直す必要があるため、再履修する時間や労力が増えることもデメリットです。

メリット・デメリット

留年時に落とした単位だけを履修する場合のメリット・デメリット

メリット

このシステムでは、留年前に取得した単位が全て有効となり、留年する年の進級ハードルが前の年よりも低くなります。着実に単位を積み重ねていくことで、進級や卒業に近づける点がメリットです。留年した年を有効活用し、前学年までの復習やリメディアル教育を受ける時間を確保しやすくなります。

デメリット

留年生として過ごす間、勉強時間が少なくなることがあります。特に、不足している単位数が少ない場合は、大学で受ける授業数が減り、学習リズムが乱れやすくなります。自己管理をしっかり行い、翌年以降の学習で苦労しないように気をつける必要があります。また、留年しても取得した単位が残るという安心感から、留年に対する危機感が薄れることも考えられます。留年にはマイナス面だけでなくプラス面もあるとはいえ、基本的には留年しないように各学年で取得すべき単位をきっちり取っていく意識が大切です。

薬学部で留年時の単位取得方法(大学別)

医学部で留年した際の単位

薬学部で留年した場合、落とした単位だけを取り直すのが一般的です。以下に、大学別の留年時の単位取得方法を示します。

 

  • 落とした単位のみ履修
    • 高崎健康福祉大学、神戸学院大学、摂南大学、姫路獨協大学、福岡大学、立命館大学など

このような大学では、留年生として過ごす1年間に時間的な余裕が生まれやすいです。空いた時間を有効に使って、不足している知識を補ったり、薬剤師国家試験対策に役立つ学習を進めたりしましょう。

薬剤師としてのキャリアについて考えるなど、モチベーションを上げる努力もできると理想的ですね。

 

  • 一部単位を除いて取り直し
    • 日本大学薬学部など

この大学では、一部の単位を除いて全て取り直す必要があります。負担が増えるものの、繰り返し学習することで授業内容をより深く理解するメリットがあります。

学習リズムを整えた状態で次の学年に進みやすくなるため、このシステムを前向きに捉え、次こそは留年しないように苦手分野の克服に努めましょう。

まとめ

薬学部で留年すると、薬剤師になるまでの期間が長くなり、気分が落ち込むこともありますが、留年は決してネガティブなだけの出来事ではありません。むしろ、留年した1年間を有効に使うことで、薬剤師としてより良いキャリアを築くきっかけにもなります。2回目の進級試験をクリアするための学習に加えて、薬剤師としての就職先を検討するなど、将来を見据えた取り組みも行い、学習モチベーションを高めていきましょう。