【国家試験講評】第107回薬剤師国家試験

第107回薬剤師国家試験 

 

第107回薬剤師国家試験(薬剤)における講評

1.必須問題

特徴

必須問題は、薬学理論問題や薬学実践問題とは異なり、絶対評価(63/90)となります。第107回の必須問題は、第106回に比べると同程度の難易度で、教科書レベルのオーソドックスな問題が出題されています。それほど難しいと言った印象はありません。

 

ただし、受験生が引っ掛かりやすい問題も含まれており、浅い知識だと間違ってしまう可能性は大いにあります。

 

新傾向問題をいくつか挙げてみます(問48、問52、問53)。問48については薬ゼミの246回模試で出題されています。模試の復習もしっかりしておきましょう。製剤学分野では薬剤の作用部位(問52)や容器(問53)に関する出題がありますが、しっかりと考えると正答できる問題です。

 

有効な勉強法

まずは、過去5年分くらいの必須問題は即答できるように知識を身に付けておきましょう。そうすると、薬学理論問題や薬学実践問題を解く上での土台も作ることが出来ます。普段からキーワードに飛びつき、考えなしに解答を選択してしまう人は、問題をたくさん解くことで見慣れない問題に対して対応できる力を鍛えておきましょう。

 

2.薬学理論問題

特徴

薬学理論問題では、必須問題よりも一歩踏み込んだ知識の理解を問われます。必須問題では、キーワードだけでも正答できる問題もありますが、薬学理論問題では、理解が浅いと確実に間違って選択してしまいます。

 

第107回では、一見難しそうな公式やグラフが出題されており、戸惑った受験生もいるのではないかと思います。しかし、しっかり問題を読み進めると、グラフの傾きなどから解くことができるような難易度の低い問題です。第106回と比較すると、難易度はあまり変わらず難しく、新傾向の問題も数問ありました。

 

新傾向問題をいくつか挙げてみます(問174、問178、問180)。これらの問題はグラフの傾きなどから読解し、考える力が求められる問題です。普段からグラフ問題を解く際は答えを覚えるのではなく、なぜそうなるのかを考えながら解くことが重要です。

 

有効な勉強法

必須問題と同様で、基本的には多くの過去問を繰り返し解くことで、知識の理解や定着を図ることが重要です。また、正解の選択肢だけを確認するのではなく、誤答肢についてもしっかりと訂正できるようにしておく必要があります。過去問や模試などで知らなかった知識をノートにまとめるなどして自分だけのオリジナル参考書を作り、知識を増やしていくことをオススメします。

 

3.薬学実践問題

特徴

薬学実践問題では、臨床現場で通用する実践力を確認する問題が出題されます。第107回では、薬理、薬剤、実務の4連問題があり、第106回と比較すると難化傾向にあります。

バイオシミラー(問280-281)や抗体-薬物複合体(問282-283)などの新傾向問題もありました。

 

有効な勉強法

やはり、過去問に載っている問題をしっかりと理解し、薬学理論問題の知識と絡めて覚えておく必要があります。薬理、病態・薬物治療などの連問題が出題される傾向にあるので、その分野の知識もしっかりと身につけておくが重要です。

 

まとめ

年々、薬剤師国家試験の合格率は下降傾向にあります。現在は相対評価ですが、合格定員があるわけではなく、ある一定以上の点数を獲得できれば確実に合格できる試験になっています。では、合格するにはどうしたら良いか?それは、過去問を解き、参考書などで知識を深め、応用にも使える知識を身につけることです。

 

過去問は約20%再利用されているので、過去問演習は必須です。早めに過去問演習に取り掛かりましょう!最後に、今年受験された方はお疲れ様でした。来年受験する方は適切な勉強法で合格をつかみ取って下さい。