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第103回薬剤師国家試験_総評

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第103回薬剤師国家試験

必須問題、理論問題、実務問題それぞれの傾向を分析して見ましたので、ご参考になさって見てください。

 

皆さん、こんにちは。

そして、2018年2月24日、25日に行われた第103回薬剤師国家試験を受けられた皆様、お疲れ様でした。

今回は全体的に、102回よりもかなり難易度が高くなっていましたね。

受験された方の多くはすでに自己採点などされているかと思いますが、試験の結果をふり返りたい方や、ボーダーの方、そして来年度の受験生の為にも科目別に総評をまとめてみました

特にこちらの記事では、物理、化学、生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬事法規、実務の科目について必須問題、理論問題、実務問題それぞれの傾向を分析して見ましたのでご参考になさって見てください。

 

 

─ 物理 ─

①必須問題

物理化学3題、分析化学2題からの出題でした。物理学の基本的な用語を聞く 問題や、公式そのものを聞く問題、また99回で出題された高校で習うような 有効数字の問題が出題されていました。難易度は「易」で落としてはいけないレベルです。

 

②理論問題

物理化学、分析化学とバランスの取れた問題配分でした。物理化学は、知識を問うものから、グラフをしっかり読み込まなければならない問題までさまざまでしたが、分析化学は、日本薬局方に関する問題が多く出され、過去問を解いて理解していれば比較的容易に解答できたと思われます。また、ペプチド結合や電磁波など今までにない角度からアプローチしてきた問題なども見られました。難易度としては「やや難」であり、解答が難しかったと思われます。

 

③実践問題

グラフを読取る問題や基本原理を聞く問題、知識の確認問題など幅広く出題されています。知識の確認問題は、過去問の対策をしっかりやっていれば難しくはありませんでした。グラフ問題は、流体の性質をちゃんと理解していれば、解答に導くことができ、イムノクロマトグラフィーの原理の問題は、分析技術に関して深く理解していれば問題なく解けたはずです。難易度は「中程度」です。

 

 

 

─ 化学 ─

①必須問題

出題内容は例年通り、有機化学から2-メチルブチル基の構造式の問題や、R配置を選ぶ立体化学の問題、芳香族性に関する問題、カルボン酸のpKaの問題 が出題され、無機化学から亜鉛の酸化数が出題されました。難易度は物理と同じく「易」で落としたくはないところです。

 

②理論問題

例年通り、生薬を除いて反応式や図を見て判断する問題が多く見られました。立体配座やSn1反応など基本的な問題も見られましたが、分子軌道、反応条件、酵素活性部位の構造など目新しい問題も出されていました。生薬と核磁気共鳴スペクトルの問題は、過去問ベースの標準的な問題でした。難易度は「やや難」であり 特に新傾向の問題には悩まされたのではないかと思われます。

 

③実践問題

例年通り、生薬以外は構造式を用いた問題が出題されました。医薬品による尿の着色問題を構造式で出したり、金属とのキレート生成の位置の問題を構造式の中の原子の位置で選ばせたりと、考えさせられる問題が多く出題されました。また 医薬品の体内での反応など、他の分野との複合問題も見られました。難易度は「中程度」です。

 

 

 

─ 生物 ─

①必須問題

基本をしっかり押さえていれば、問題なく解けたと思います。出題内容は機能形態学、生化学、分子生物学、免疫学、微生物学から1題ずつ偏りなく出題されていました。図や構造式を用いた問題が増えて対策が必要だと感じました。難易度は「易」です。

 

②理論問題

近年多くみられる図を用いた問題や、実験考察問題が出題され、知識だけでなく考察力や総合力が必要です。出題内容は、機能形態学3題、生化学1題、分子生物学2題、免疫学2題、微生物学2題とバランス良く出題されており、 機能形態学と微生物学は標準的な問題ですが、未知のタンパク質Xの問題 は、正解へ導くのが難しかったと思われます。難易度は「やや難」であり受験生を苦しめたと思います。

 

③実践問題

機能形態学が3題、分子生物学が1題、生化学が1題と機能形態学が多く出題されました。衛生と4連問が出題され、今までになかった傾向が見られました。遺伝子多型による薬物の代謝に関する問題ではグラフを読取る高い考察力が要求されています。また日焼け止めやサプリメントなど実際の現場で起こりうる問題が出題されました。難易度は「中程度」ですが、新傾向への対策が必要になってきます。

 

 

 

─ 衛生 ─

①必須問題

健康から5題、環境から5題と偏りなく出題されています。過去問の対策をしっかりしていれば、何処かで見たことのある問題が多かったのではないでしょうか。またB型肝炎ウイルスワクチンが、予防接種法の定期接種に追加されたことが出題されており、難易度は「やや易」です。

 

②理論問題

健康から10題、環境から10題とバランスよく出題されています。近年よく見られる図表やグラフを読取る問題が多く出題され、知識だけではなく考える力も必要となってきており、計算問題は2題で例年通りでした。また構造式を用いた問題は2題と例年より少なくなりました。文章による正誤問題は、標準的な問題だったが、全体的には考察問題が増えたため、難易度は少し高めの「やや難」です。

 

③実践問題

健康から7題、環境から3題の健康に偏った出題でした。一部が物理・化学・生物との連問で出題され、今までにない形式でした。出題内容としては、 院内感染、生活習慣病、感染症、医療廃棄物、中毒などから出されており、例年通りでした。近年の傾向として、医療分野と絡めた問題が増えてくると予想されます。難易度は「やや易」です。

 

 

 

─ 薬理 ─

薬理に関しては、102回と比較して同程度の難易度でした。続いて、必須、理論、実践についてそれぞれの傾向をまとめましょう。

 

①必須問題

難易度:やや平易

過去問頻出薬物の作用機序を問う問題が中心で、難易度は例年通りといった印象です。過去問をやり込んでいれば得点しやすかったのではないでしょうか。ただし、ストレートに回答できる問題ではなく、回りくどい言い回しの問題もあったため、少し難しく感じた方もおられたかもしれません。また、副作用から薬物を推察する問題(問38)などこれまでにない新傾向の問題も見られました。

 

②理論問題 

難易度:中程度

現場でよく使用される話題性のある薬物の作用機序を問う問題が多くみられましたが、基礎的な知識が身についていれば解答を導き出せる問題でした。また102回でも出題された構造式と作用機序の理解が必要な問題(問165)も出ていました。

 

③実践問題

難易度:やや平易

昨年の102回と比較して、図やグラフを用いた問題が多く、実験の考察、計算力が問われる問題が増えました。また、患者さんの背景を理解した上で薬剤師の立場から問題解決能力を問うという形式の問題が中心となっていました。特に問262〜265は、薬剤師として、患者さんの治療経過に応じた対応を考える内容の問題で、4連問となっていたというのが新しい傾向です。

 

④まとめ

これまでの傾向よりも、現場でよく用いられている薬物が出題されていました。また、病態と薬理の科目の壁を超えた問題(問159など)も出題されていたので、病態を理解した上で薬物の作用機序を解答できるような総合力も求められました。

 

 

 

─ 薬剤 ─

①必須問題

薬物動態から7問、製剤から8問出題されています。基礎的な問題が多かったが、阻害薬を構造から選ばなければならない問題や、写真を用いた問題など 工夫が見られました。また日本薬局方の知識は、しっかり習得する必要があります。
難易度は「やや易」です。

 

②理論問題

例年どおり相互作用やADMEの問題など、幅広い分野から出題されたが、過去問の対策だけでは選択肢が絞りにくい問題がいくつか見られました。知識と考える力が両方必要とされ、グラフや図表を用いた考察問題が3題、計算問題が2題出題されました。計算問題は、単位を合わせれば解ける問題もあり標準的な問題でした。難易度は「やや難」です。

 

③実践問題

薬剤師の現場を意識した問題が多く出題されました。例年通り、インスリン製剤や相互作用、自己乳化型マイクロエマルションの問題などが出され、過去問をしっかり解きこんでいれば解ける問題です。テーマとしても目新しいものがないので、過去問を中心とした演習を繰り返し行うことが重要です。難易度は「中程度」でそれほど難しさは感じなかったのではないでしょうか。

 

 

 

─ 病態・薬事 ─

1.病態

病態に関しては、103回の中では薬剤に次いで難易度が非常に高かった分野です。ただし、102回の過去問にしっかり取り組み、理解していれば取りこぼしが少なかったのではないでしょうか。

 

①必須問題 

難易度:平易

全体的には基本的な疾患に関する問題が多く見られました。ただし、問65の重症筋無力症の問題は新しく、問67の情報分野の出題では、EBMに役立つデータベース「コクランライブラリー」を選択する問題は難解でした。

 

②理論問題

難易度:難

理論に関しては、症候について詳細に問う問題が多く、深い理解が必要な問題が多かったです。情報、検定分野では、問192の感度・特異度とベイズの定理に関する計算問題は非常に難解でした。

 

③実践問題

難易度:難易度の高い問題が多かった(102回よりも難化)

理論問題同様に、病態、治療分野については、103回の実践問題も難化していました。また、症例から検査値などの細かい数値を読み取り、分析する能力が必要な問題が多かったです。

 

2.薬事

薬事に関しては、102回と比較してやや平易、得点源となる分野だったと考えられます。

 

①必須問題

難易度:平易

解きやすい問題が多く、得点源となる分野でした。直近の過去問など既出問題を理解していれば解答が導けたでしょう。問72の病院内の設置施設の問題や問76の帝王切開による分娩に関する問題は昔よく出題された問題でした。新傾向として、リビングウィル(尊厳死)の問題が問われるなど昨今の社会問題を背景にした特徴的な問題が見られました。

 

②理論問題 

難易度:平易

最近の過去問の傾向と似ており、解答を導きやすかったのではないでしょうか。初傾向としては、問141の調剤された薬剤の規定、問148の増分費用効果比に関する問題です。問148は、計算自体は簡単なものでしたが、今後このような費用対効果を意識した薬剤経済分析の問題が出題されることが増えてくる可能性があります。

 

③実践問題

難易度:中程度〜やや平易

患者心理を選択する問題、かかりつけ薬剤師の意義やその職務内容について出題されていました。問題をよく読み、正確に答えれば得点できる良問が多かったです。

 

 

 

─ 法規 ─

①必須問題

基本的な知識を問うものが多く、過去問で対策をして、その内容を丸暗記ではなく理解していれば高得点がとれたのではないでしょうか。内容としては、薬害問題で原因となった薬物の疾患名を問う工夫が見られました。また新傾向としてリビングウィルを選ぶ問題があり、難易度は「易」で全問正解の受験生も多かったかと思われます。

 

②理論問題

標準的な問題がほとんどで、過去問をしっかり対策していれば得点し易かったのではないでしょうか。新傾向の問題として、増分費用効果比の計算問題が出されていましたが、教科書などを読んで理解していれば簡単な問題であったと思います。喪失体験については、教科書でもあまり扱われないが、問題文をよく読めば解答にたどり着くのは容易です。難易度は「やや易」で理論問題では得点を稼ぎたいところです。

 

③実践問題

全体的に偏りはなく各分野から出題されています。医療報酬や介護保険、医薬品の分類の基本的な知識を問う問題が見られました。また、処方箋の疑義照会や後発品の患者への説明、不安を感じている患者に対する相談方法など、薬剤師としての現場での対応を問う問題も見られ、より実務を意識した出題傾向でした。
難易度は「やや易」で、落とす問題ではなかったと思われます。

 

 

 

─ 実務 ─

実務全体に関しては、102回と比較してやや平易、薬事に続き、得点源となる分野だったと考えられます。ただし、実践問題は例年よりやや難易度が高くなっていました。

 

①必須問題

難易度:平易

難易度自体は平易でしたが、ここ数年よく問われていた定義、用語、業務の問題が全く出題されず、医薬品関連の問題が多かったのが特徴です。

 

②実践問題

難易度:中等度〜やや難

純粋な計算問題は20問中4問と例年通りでしたが、問題に記載されている検査値や添付文書の情報を活用して解答を導く問題が8問あり、思考力を問われる内容が目立ちました。また、薬学実務実習に関するガイドライン(平成27年2月)による実際に体験してほしい8つの代表的な疾患「がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経系疾患、免疫アレルギー疾患、感染症」に関する問題は昨年に続きよく出題されています。特にがんに関する出題の割合は非常に高い傾向が続いています。今年に限った特徴を挙げると、感染症に関する設問も非常に多く見られました。

 

 

 

まとめ

いかがでしたか。103回は、難しかったと言われている99回、100回の難易度に近い平均点が出そうだ言われており、ここ数年の中では難しかったと言えます。

おそらく、106回からの出題基準変更に向け、傾向が少し変わっているのではないかと考えられます。また、科目の壁を超えた設問が多く、科目ごとの勉強だけでは十分に対応できない思考力を問われる問題がみられたので、難しいと感じた受験者も多かったのではないでしょうか。

しかし、薬剤師国家試験は相対基準です。

225点以上取れば合格ですが、全体の結果から合格基準点を調整することもありますので、ボーダーの方はまだ諦めずに、3月27日の結果発表まで心を強く持ちましょう。